新潟明訓が、秋は18年ぶり7度目の優勝を決めた。中越と接戦を演じ、7-6で逆転勝ちした。1-3で迎えた8回、4安打に5四死球を選んで一挙6点。最終回に1点差に詰め寄られながらも優勝旗を手にした。北信越大会は地元開催で10月15日に開幕。優勝した新潟明訓ほか上位4校が出場する。

マウンドを降りた新潟明訓のエース樋口歩夢投手(2年)が、斎藤飛向捕手(2年)に飛びついた。ナインが抱き合う2人のもとに駆け寄り、歓喜の輪を作った。8回を終えて7-3と“安全圏”に逃げ込みながら、9回に4安打などで1点差に肉薄された。6回無死一塁から2番手で救援登板した樋口は「最後まで投げるのがエースの役目」とピンチに立ち向かった。緊張から解放され、全員の喜びは爆発した。

1-3から一挙6点を挙げたのは8回だ。先頭打者の樋口は遊ゴロにも一塁にヘッドスライディング。アウトになったが闘志あふれるプレーにナインは奮い立った。5-3となった1死満塁で2点中前適時打を打った小林倖左翼手(2年)は言う。「あのプレーでいけると思った」。5四死球に乗じての大量点ながら、8回は4安打をたたみ掛けた。7回まで2安打に抑えられていた打線に火がついた。

コロナ禍で夏休みに予定していた練習試合は約20試合が中止になった。島田修監督(57)は「実戦が足りないから勝ち上がって強くなっていくしかない」と話していた。しかし、4年目の指揮官の心には「優勝」の2文字があった。「今まではチャレンジャーだったが、この秋は本気で旗を取りに行く」と決めていた。

そんな思いが通じた。秋は18年ぶりに優勝旗を手にした。「試合が終わったら、ぶっ倒れるような勢いで(試合を)やる」と主将の小西健五遊撃手(2年)が話していた通りの濃厚な2時間39分だった。「苦しいゲームを経験して成長した」と島田監督が言う新潟明訓は、県1位校として他県の強豪を地元北信越で迎え撃つ。【涌井幹雄】

◆北信越大会 新潟県で16校が参加し、10月14日に開会式が行われる。開催地の新潟は出場枠1増で新潟明訓、中越、東京学館新潟、日本文理の準決勝進出4校が出場。15日1回戦、16日2回戦、22日準決勝、23日決勝を戦う。決勝はハードオフ新潟で午前9時試合開始。組み合わせ抽選は10月7日に行われる。来春センバツ選考に参考資料となる大会で北信越のセンバツ出場枠は2。