北照が北見柏陽を6-0で下し、15年以来7年ぶりに準々決勝に進出した。先発右腕の田中太晟投手(1年)が9回3安打、10三振を奪う好投。88球という省エネ投球で公式戦初完投初完封した。今春の全道大会決勝で先発も、1回1/3を6失点で降板。汚名返上の快投に「この舞台に戻って、しっかり投げられてうれしい」と喜んだ。

4カ月で成長した姿を披露した。食事と筋力トレーニングで体重は入学時から9キロ増の71キロ、球速は10キロ上がり135キロに。夏場に会得した通常より約15キロ遅い“チェン遅アップ”もまじえ北見柏陽打線を翻弄(ほんろう)した。「以前は緊張して出せなかった」声も1球ごとに「しゃー」と雄たけびを挙げつつ、遅めの球を投げるなど工夫。巧みにいなす投球で、4回8球、5回7球、9回は9球と効率よく抑えた。

横浜市出身。テレビ観戦した19年夏の甲子園の試合で、四球の際に丁寧にバットを置くスタイルにあこがれ「上林(弘樹)監督の指導を受けたい」と進学を決めた。屈辱の春の後、夏はベンチ外。試練を越えた背番号10を上林監督は「太晟がよく投げた。春の経験が生きた」とたたえた。

地区から計18イニング6安打無四球無失点。防御率0・00を誇る北照のマダックスが、10年ぶり秋王座を引き寄せる。【永野高輔】