名門・東北が復活ののろしを上げた。決勝は仙台育英に3-6で敗戦。0-2の4回表に2点を取られたがその裏すぐに2点を返し、6回には3-4と1点差にまでつめ寄った。今年8月に元巨人内野手で同校OBの佐藤洋監督(60)が就任してから約2カ月。新チームは決勝まで公式戦負けなしの堂々たる東北大会準V。強い東北の根底にあるのは「楽しい野球」だ。

「野球は君たちのものだから」。指揮官が大事にしている信念が選手たちの可能性を大きく引き出した。「この試合は子どもたちのためにあるゲーム。『自由にやってください』と言いました」。就任当初から子どもたちの自主性に任せ、この日ももちろん「選手ファースト」。ナインは思い思いに野球に向き合い、決勝を思い切り楽しんだ。指揮官は「子どもたちが自由に楽しく、一生懸命野球をやっている。すごくたくましく成長しています」と、ナインの成長ぶりに目を細めた。

今年の東北のテーマは「自立」。12年ぶりのセンバツ出場、そして来夏へ。選手たちが自分の足で歩み、心から楽しむ野球を表現していく。【濱本神威】