元ロッテ投手の伊藤義弘監督(40)率いる東福岡(福岡2位)は、宮崎商(宮崎1位)を7-0の7回コールドゲームで下して、初戦を突破した。

指揮官からプロ魂注入で鍛えられた最速143キロで身長183センチの大型右腕、藤岡慎之祐投手(2年)が7回3安打無失点で貢献。8強入りした01年以来3度目のセンバツ出場へ好スタートを切った。大分商(大分2位)、長崎日大(長崎1位)、日本ウェルネス沖縄(沖縄2位)も準々決勝に進んだ。

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「ヒガシの千賀」が宮崎王者斬りで8強入りだ。藤岡がガッチリした体格から投げる130キロ台中盤の直球や、キレのあるカーブ、ツーシーム、スライダーがさえ、7回を無失点。「(宮崎商は)振ってくるのでカーブでかわし、真っ向勝負は直球で勝負した」と振り返った。伊藤監督は「最近の中では一番良かった。カーブをうまく使い、打ち気をそらし、落ち着いて試合に臨んでくれた」とたたえた。

プロの厳しさを知る伊藤監督直伝のメンタルの強さが光った。日頃から「投手はメンタルとコンディションをどう整えるか。これがかみ合わないといいパフォーマンスができない」と伝え、指導してきたという。藤岡も「思い切り、強い気持ちでバッターに向かっていきました。受け身に回らず、攻める気持ちで甲子園に行きたい」と気合十分だった。

目標はソフトバンク千賀滉大投手だ。「エースの自覚があって、大事なところでいい投球をする」と参考にしている。地元球団が誇るエースさながらの力投で、07年夏を最後に遠ざかる甲子園にチームを導く。【菊川光一】

◆伊藤義弘(いとう・よしひろ)1982年(昭57)6月2日、福岡市生まれ。東福岡高-国学院大-JR東海を経て、07年大学生・社会人ドラフト4巡目でロッテ入り。最速153キロ、スライダー、シュートを武器に主に中継ぎで活躍。10年日本シリーズの胴上げ投手。16年限りで現役引退。プロ通算257試合に登板し、6勝13敗、1セーブ、71ホールド、防御率3・83。17年に学生野球資格を回復。20年4月から東福岡の保健体育講師を務め、同年夏の新チームから監督就任。177センチ、78キロ。右投げ右打ち。