第95回記念選抜高校野球大会(3月18日開幕、甲子園)の出場校が27日、決定する。

選考会が朝から行われ、午前の部では21世紀枠候補9校の推薦理由説明会が行われた。9地区の理事らが持ち時間の3分30秒をフルに使い、熱のこもったプレゼンテーションを行った。

東海地区の木本(三重)は三重県高野連専務理事の栗谷佳宏氏が担当。アピール材料の1つとして「学校の真横には世界遺産の熊野古道がある。トレーニングの合間に、ゴミ拾いや歩行者の安全のために『こけ』をブラシでこするなどしている」と説明した。

その後の質疑応答。21世紀枠の特別委員のノンフィクション作家、佐山和夫氏(86=日本高野連顧問)は木本の活動内容を評価。その上で「『ブラシでこけ落とし』というのはまずいのではないでしょうか。世界遺産ですから。(熊野古道の)総称は『紀伊山地の霊場と、その参詣道』なんです。つまり道そのものが世界遺産」と指摘した。

木本は資料の中にも「熊野古道のこけ落としや清掃活動」と記していた。

予想外の質問に対して、栗谷理事は「説明不足でした。近くに松本峠という古道があるのですが、その中のこけはもちろん手つかずです。そこに入る段階の所がコンクリートで、そこがこけむしている状態です。世界遺産の石畳をブラシでこすることは一切していません」と説明した。

佐山氏は「それだと『こけ落とし』という言葉はよくない。清掃活動と一緒になっちゃっていて、まるでゴミと同じあつかいをしているようにしか読めない」と続けた。

21世紀枠の創設にも深く関わり、野球殿堂入りもしている佐山氏。和歌山県出身で熊野古道にも造詣が深い。緊張感のある選考会場に、めずらしく笑いも漏れる一幕となった。