甲子園に帰ってきた「清原」が大観衆を沸かせた。西武、巨人、オリックスで通算525本塁打を放ち、甲子園春夏通算13本塁打の記録を打ち立てた清原和博氏(55)の次男、慶応(神奈川)・清原勝児内野手(2年)が「5番三塁」でスタメン出場。2回に甲子園初安打を放つも、「夏春連覇」を目指す仙台育英(宮城)に今大会初の延長タイブレークで、サヨナラ負けを喫した。

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同点で迎えた10回表、2死満塁。「5番、セカンド、清原くん」がアナウンスされ、応援歌「ダッシュKEIO」が流れると今大会最多の2万4000人が押しかけた甲子園全体のボルテージはこの日最高潮に上がった。

「きよはら!」の大声援の中、打席へ向かった。「形はなんでもいいから点は絶対に取るという気持ちだった。集中していて観客の声もあまり聞こえなかった」。カウント1-2から外角への変化球をフルスイングしたバットは空を切り、悔しさのあまり思わずバットを地面に打ち付けた。

惜敗したが“清原和博の息子”ではなく“清原勝児”として、聖地を沸かせた。第1打席には仙台育英のプロ注目左腕・仁田陽翔(3年)からチーム初安打を左前に放ち、左翼手が失策した隙に二塁まで全力疾走。塁上では拳を振り上げ喜びを爆発させた。9回裏からは「練習試合でも高校通じて1回しかやったことがなかった」という二塁の守備位置についた。ボールこそ飛んでこなかったものの観客を沸かせた。

小学生時代は捕手含め全ポジションを経験済み。低学年時の公式戦では「3番投手」で出場した大会で決勝本塁打とノーヒットノーランを同時達成したほどの抜群の運動神経を持っている。「いつ(ボールが)とんできても大丈夫な準備はしてあった」と話した。

球場で観戦した父がPL学園時代に甲子園春夏通算13本塁打記録を打ち立てた聖地。試合前、家族から「堂々と胸張って頑張ってこい」とエールをもらった。「父の偉大さを実感した。自分としては最後までやりきれた」。1年時にわずかに単位不足で留年したため、規定により「2年夏」で迎える今年が最後の夏。必ず甲子園に戻ってくることを誓った。【星夏穂】

◆清原和博の甲子園デビュー戦 PL学園1年夏の83年1回戦、所沢商戦に4番一塁でスタメン出場し、前田東郎投手の前に3打数無安打(二ゴ、中飛、一ギ、三ゴ)。甲子園初安打は通算3試合目(通算9打席目)だった。

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