新しい「帝京魂」をつむいでいく。帝京が7-3で関東第一に勝利し、10年ぶり14回目の優勝を飾った。

投打がかみ合い、21年秋から指揮をとる金田優哉監督(37)は初タイトル。前監督で甲子園通算51勝を挙げた前田三夫名誉監督(73)も祝福した。関東第一は3連覇を逃した。決勝に進出した2校は、春季関東大会(5月20~23、27、28日、神奈川)に出場する。

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10年ぶりの歓喜は、夏へのステップだ。9回2死、最後の打者を中飛に抑えると、マウンドの小野寛人投手(2年)の元にチームメートが駆け寄った。人さし指を掲げる「NO・1」ポーズで、歓喜の輪ができた。甲子園にはつながらない大会だが、選手たちにとっては初めて味わう頂点。9回を被安打8の3失点、93球で完投した小野は「緊張は全然しなくて、楽しかった。うれしかったです」と喜んだ。

スタンドへのあいさつが終わると、金田監督はすぐに選手たちを集めた。「次が、大事だぞ」。次とは、甲子園出場がかかる夏の東東京大会。21年秋から監督を引き継ぎ、昨夏、昨秋と続けて4強入り。今大会で準決勝の壁を破り、決勝では夏に同じ東東京大会を戦う関東第一に勝利。確実に成長曲線を描いてきた。

前監督で、甲子園26回出場の前田名誉監督も駆けつけた。「選手の体がデカくなった。チーム一丸となって集中している。ねばりが出てきましたね」と目を細めた。現場からは離れているだけに、成長を実感する。「若い指導者が一生懸命やって、結果を残すことはうれしい。ホッとしているし感謝。帝京魂を持って、不動の強さを作ってほしい」と話した。

11年以来12年遠ざかる甲子園へ。指揮官は「目標は、夏に優勝すること。選手たちの夢をかなえてあげたいんです」と力を込めた。頂点に立ったこの歓喜を、全員でもう一度味わう。【保坂恭子】

▽帝京・稲垣渉外野手(3安打3打点、今春から4番)「今大会は四球も多く、打率が残せた。東京1位で関東大会に出るので、勢いに乗って優勝まで駆け上がりたい」