金光大阪が大阪桐蔭の大阪大会の連勝を56で止め、初の春優勝をつかんだ。

9回1失点で完投したキャリー・パトリック波也斗投手(3年)は試合後、仲間への強い感謝の思いを口にした。「スタンドも含めた部員115人が攻めに行ってこの結果につながった。単純に(勝てて)うれしいけど、ここで終わりではない。今日は今日で切り離して、次も全てを出し切れるように初日を迎えたい」。

1回に岡治尚希内野手(3年)の適時二塁打で2点を先制。1点を返されたものの、115人が一体になって1点のリードを守り抜いた。

金光大阪は、1死を取るたびにスタンドから大きな拍手と声援で後押する。ナインはそれに応えるように3つのアウトを奪うと、全速力でベンチに戻る。「どれだけみんなで1つ1つのアウトをとって喜べるのか-」。横井一裕監督(48)が毎試合、部員たちへ訴えかけてきた言葉だ。そんな一丸で戦う姿勢があるからこそ、キャリーは「9回まで投げていても心を落ち着かせられる」と感じ、勝利につなげることができた。

そんな左腕が感謝する人がもう1人。午前6時30分開始の朝練めがけて電車で通うため、朝食は学校で食べる。母梨沙さん(42)お手製のサンドイッチは欠かせない。試合前には「自分たちの力を桐蔭戦で出し切って、みんなが後ろで支えてくれてるから笑顔でいこうね」と励まされた。4回1死一、三塁のピンチではマウンド上で仲間と円陣を作った。併殺打で切り抜けると、とびきりの笑顔で全速力でベンチに戻った。

選手、監督、スタンドの“全員野球”で、大阪の頂点にたどり着いた。【中島麗】