21年夏覇者の日大東北が郡山を4-1で下し、19年以来2大会ぶり(20、21年は中止)の東北大会切符をつかみ取った。打っては、2回に先制適時打を放った荒瀬剛毅内野手(3年)がチーム最多の3安打をマーク。投げては、エース左腕・堀米涼太投手(3年)が1失点完投と投打がかみ合った。

昨春の東北大会を制した聖光学院は学法石川に4-1で勝利。2校は岩手県で開催される東北大会(6月7日開幕)へ出場する。

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この日最初の決定機を見逃さなかった。0-0で迎えた2回1死二塁、先制のチャンスに荒瀬は、「ゾーンに来た球はなんでも打ちに行く」と、強い気持ちで打席に立った。2球続けてボール球を見逃し、3球目。低めの直球を左中間へとはじき返した。「支部大会は初球から積極的に行けなかった。県大会は積極的に振りに行くことをテーマにやりました」。支部大会の悔しさを払拭(ふっしょく)する一打に、荒瀬は一塁上で笑顔。ベンチに向かって両拳を突き出した。

荒瀬の一打が起爆剤となったか、チームはその回にもう1点を追加。以降毎回の安打で郡山を崩しにかかり、合計10安打4得点。打線の援護を受けた堀米涼は、9回153球の粘投で応えた。「マウンドに合わせながら、さぐりさぐりの状況だった」。フォームに若干の違和感を覚えながら、被安打「8」、四死球は「4」。不安定ゆえに5回に2死満塁、7回には1死満塁のピンチを招いたが、5回は二飛で打ち取り、7回は最小失点で切り抜けた。堀米涼は「流れが相手に行きつつあった。最小失点で抑えられたのは良かった」と振り返った。

春の決勝でリベンジを果たす。日大東北が春の決勝に進出するのは14年以来9年ぶり。9年前は聖光学院に3-5で敗れている。堀米涼は「夏を見据えるなら取らないといけないところ。チーム全員で優勝を取りたいと思います」。夏を制するため、ここで止まってはいられない。【濱本神威】

○…聖光学院先発の安斎叶悟投手(3年)が7回まで無失点と試合を作った。「今日は真っすぐの質が良かった。真っすぐで押していくことを意識しました」。この日は、自信のあるチェンジアップの制球がなかなか定まらなかったが、「前日のブルペンでは1ボールからスタートしていた。制球が求められているという意識で投げられたことが今日に活きたかなと思います」。真っすぐを軸に、7回まではボール先行でも崩れずに立て直した。しかし8回、四死球3つで1死満塁のピンチを背負い降板。安斎は「四球から始まった展開に、自分が負けてしまった」と反省した。