浜松商の「ダブル鈴木」が全力で最後の夏を駆け抜ける。鈴木裕太内野手(3年)が1番打者として打線をけん引。守っては遊撃手として内野陣を統率する攻守の要だ。開幕を前に「あっという間に夏が来た。楽しみながら、勝ちにこだわっていく」と、2季連続(昨秋・今春)で県大会出場を逃した悔しさをぶつけた。守りからのリズムを重視するチームはオフシーズンに守備力を強化。さらに5月には内野手3人をコンバートした。昨夏の県大会2回戦で優勝した日大三島戦(2●4)に三塁手として出場した鈴木裕が、守備範囲の広さを買われ遊撃手に転向。「初めてのポジションに慣れてきた。攻守でチームを盛り上げていくことが自分の役割」と活躍を誓った。

主将の鈴木奏楽(そら)捕手(3年)も負けていない。チームの得点源である3番打者は、守っても強肩を武器に4人の投手陣をリード。昨夏の県大会を経験している大黒柱は「声でもみんなを盛り上げていく」と話し「やり切るだけ。悔いが残らないよう全力でぶつかる」と意気込んだ。そんな2人を戸塚和也監督(50)は「チームをよくここまでまとめてくれた」と評価した。

公式戦で結果が出なかったチームが今春、好調を維持している。県外の強豪チーム含め5月の練習試合で10勝3敗。打線がつながり、投手を中心に守り切る野球を体現した。指揮官は「勝負どころで決め切る力がついてきた」と手応えを口にした。春夏通算17度の甲子園出場を誇る古豪が、復権を目指してノーシードから勝ち上がる。【山口昌久】