「たった1人の3年生」たちが、最後の夏を迎えようとしている。静岡西の堀優雅主将は、打撃が魅力の外野手。公式戦初勝利を目指し、勝負どころでの1本を誓った。相良の沢村隼人内野手は、単独チームでの出場がかなった喜びを胸に主将としてチームをけん引する。共に「夏1勝」を目標に掲げる2人、高校最後の大会を全力で駆け抜ける。

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静岡西の堀が集大成の夏に挑む。1年秋から公式戦に出場してきたが、春夏秋を通じてここまで5大会連続未勝利。12人の下級生を束ねる主将は「まだ大会で1度も勝てていない。最後は1勝して終わりたい」と力強く目標を口にした。

チームで、ただ1人の3年生。寄り添い、支え合う同級生はいない。ラストサマーを迎えるまでには、部を辞めようと考えたことも何度もあった。折れかけた心を支えたのは、両親の言葉だった。「ただ苦しいという理由だけで退部することはやめなさい」。

グラウンドに立ち続けると、今春の中部地区予選1回戦。強豪・静岡高から右前安打を記録した。試合には敗れたが「もし辞めてしまっていたらヒットもなかった。配球も読んで打てた。うれしくて、手応えも感じた」と目を輝かせる。

初めての夏となった昨年の選手権静岡大会は、1回戦で御殿場に1-4で敗戦。堀自身も緊張に襲われ、精彩を欠いた。「サインを見落としてしまったり、やり切れなかった。今年は悔いを残さないようにしたい」と完全燃焼を誓った。

卒業後は就職を予定している。小6から始めた野球は、これで最後になる。「これまで試合に出させてもらってきた。チャンスで1本打ちたい。両親にも全力プレーを見せたい」。悲願の1勝へ、快音を響かせる。【前田和哉】

◆堀優雅(ほり・ゆうが)2005年(平17)11月29日、静岡市生まれ。小6から長田南マリーンズで野球を始め、静岡東中では軟式野球部。右投げ右打ち。家族は両親、弟2人と妹。166センチ、60キロ。血液型O。