大船渡が盛岡一に1-3で競り負け、3回戦敗退。ロッテ佐々木朗希投手(21)を兄に持つ怜希投手(3年)は、先発で3回途中2安打6四死球3失点(自責1)と涙のラスト登板となった。

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佐々木怜はあふれる涙を何度もぬぐった。兄朗希を擁し準優勝した19年以来、4年ぶりの8強を逃すとともに最後の夏が終わった。開口一番「悔しいです」と声を振り絞った。結果的に序盤の3失点が勝敗を分けた。「今日勝って次につなげるようなピッチングをしたかったが、思うようにいかなかった」。0-3の3回2死一、二塁で降板。中堅の守備に回り、5回の守備からはベンチに退いた。

立ち上がりから制球が乱れた。直球主体に攻めたが、ボールが先行。2回までに41球を要した。3回は先頭を空振り三振で仕留めたが、後続に四死球を与え、そこから2本の適時打と適時失策で投手交代を余儀なくされた。

もともとは遊撃が定位置も、チーム事情で昨秋から投手に挑戦した。今春、今夏と兄も背負った大船渡の背番号1を託されるまでに成長。最速は143キロまで伸びた。ただ、世間から「朗希の弟」と注目される中で過ごす2年半はしんどかった。「いろいろと野球がやりやすい環境ではなかったですが、みんなが支えてくれて今日までやってこられた。最高の仲間に支えられたなと思います」と胸の内を明かした。

兄に続いて目標の甲子園出場は果たせなかった。「こういう悔しい形で終わったので、来年は甲子園に行ってほしいです」と後輩たちに思いを託した。今後も投手として野球を続ける意向で「今のところは大学に進学したいです」。悔し涙を糧に新たなステージへ向かう。【山田愛斗】

○…盛岡一が大船渡・佐々木怜を攻略して3大会連続で8強入りした。3回2死二、三塁、千葉穂高捕手(3年)が左前適時打で先制。さらに適時失策で加点し、続く高橋汰月(たつき)外野手(2年)の適時打で3点目を奪い、同投手をKOした。相手に11安打を浴びたが、川崎煌成(こうせい)投手が6回1/3を無失点、安田圭吾投手(ともに1年)が2回2/3を1失点と要所を締め、最少失点で切り抜けた。