今秋ドラフト候補の霞ケ浦(茨城)の本格派右腕、木村優人投手(3年)が死球を受けるアクシデントも、攻守に奮闘した。

準々決勝の土浦湖北戦で、今大会2度目の先発登板。日米8球団9人のスカウトが視察する中、自己最速タイの150キロを記録した。5回の打席で左ふくらはぎに死球を受けたたが、1点リードの7回に右翼席に1発を運んだ。投げても7回6安打2失点でコールド勝ち。4強に進み、24日の準決勝では明秀学園日立と激突する。

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木村は援護をもらった3-0の5回、今大会初めてフォークを投じた。「投げたのは1球だけ。良い感じの高さに決まってくれました」と打者の手元で鋭く落とし三振を奪い、上々の仕上がりを披露した。「今日の投球は50点です」と辛口だったが「先に点数をあげたら苦しい展開になる。絶対に先制点はあげない」。フォーク解禁まではキレのあるカットボールと140キロ台後半の直球の2球種でアウトを積み重ねた。

打者木村もすごみを感じさせた。5回、左ふくらはぎに死球を当てられ、ヒヤリとしたが治療後にプレー続行。3-2と迫られた7回の第4打席は「点差もなかったので、自分のバットで追加点が欲しいなと思っていた」と豪快に初球を振り抜き、右翼席に今大会2本目となるソロ本塁打をたたき込んだ。死球の影響を感じさせないタフさと高校通算16本のパワーを見せつけた。この回6得点の口火を切り、コールド勝ちにつなげた。

巨人実松スカウトは「これだけ完成度の高いピッチャーは高校生でいない。のびしろを感じます」と評価した。ロッテ松田スカウトは「真っすぐの質も良いし、変化球が低めに集まっている」と話した。

「ここに投げておけば大丈夫と考えが甘かった」と昨秋県大会準決勝、常磐大高戦での6失点が意識を変えた。「バッターが何を考えているのか、苦手なコースはどこかと意識している」と春の好投につなげ、プロからの評価も高めた。準決勝は昨夏の王者、明秀学園日立と対戦する。「準決勝で負けたら、初戦で負けるのと同じ。良い結果つなげる」と次を見据えた。【村山玄】