秋田商が秋田修英に4-3のサヨナラ勝ち。9回2死二塁のチャンスで、1番・寺門史優外野手(3年)が左前へのサヨナラ適時打を放ち、試合を決めた。チームは15年以来8年ぶりの決勝進出を果たした。

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ここぞの場面で、また打席が回ってきた。準々決勝の能代松陽戦でのタイブレークで、勝ち越しの2点適時三塁打を放った寺門が、この日も勝負強さを発揮。9回、先頭打者の7番・菅原煌(きら)内野手(1年)が左二塁打で出塁。8、9番が右飛、三ゴロに終わり、2死二塁。勝負の行方は託された寺門は、「最後の最後で、自分に回してくれた。『何としても点を取りたい』という気持ちだった」。2球目、真ん中直球を強振。「『抜けてくれ!』という思いだった」。やや詰まった当たりは左前に抜け、その間に菅原が二塁からホームにヘッドスライディング。寺門は大喜びのチームメートに迎えられ、抱き合って勝利を喜んだ。

15年夏の甲子園で、エース左腕・成田翔投手(25、現ヤクルト)を擁した秋田商は、同校として80年ぶり、県勢では20年ぶりとなる8強入りを成し遂げた。当時、小学4年生だった寺門は同校の快進撃をテレビで観戦。「成田翔さんが甲子園に行って、ベスト8。その結果を見て秋田商に入りたいと思った」。21年春に憧れの門をたたいて、2年半。ついに甲子園まであと1勝に迫った。決勝は27日、今春の県大会決勝で0-8の大敗したノースアジア大明桜と対戦。寺門は「このユニホームを着て、絶対に甲子園に行きたい」と決意を新たにした。同校の8年ぶり19度目の夏の甲子園へ。少年時代の夢をつかみ取る。【濱本神威】

○…ノースアジア大明桜が秋田中央を3-1で下し、21年以来2年ぶりの決勝進出を決めた。先発した加藤悠羽投手(2年)は、3安打8奪三振1失点の内容で自身初の完投。1-1で迎えた8回表には、1死満塁で勝ち越しの決勝右犠飛を放つなど、投打でチームの勝利に貢献。加藤悠は、「目標の全国制覇に1歩近づいた。力になれてうれしかったです」と喜んだ。