東京ドームで、エースの風格を漂わせた。U18W杯(31日開幕、台湾)に出場する高校日本代表の前田悠伍投手(3年=大阪桐蔭)が「侍ジャパン U18壮行試合 高校日本代表対大学日本代表」で先発。

ドラフト候補がそろう大学日本代表を2回3安打3奪三振、無失点に抑えた。0-8で敗れたが、W杯前最後の実戦で好投が光った。

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2万5943人が詰めかけた東京ドームのマウンドに、前田はエースとして堂々と立った。

初回先頭から、変化球で2者連続奪三振。2死一塁となり、4番西川はカウント2-1からの4球目、137キロ直球で二ゴロに打ち取り、笑顔でベンチに走って戻った。2回は無死一塁で進藤をチェンジアップで打ち取り併殺。「先発を任されたということで、まずは役割を果たすこと、ゲームを作ることを第一において、低めに丁寧に投げられたと思います」。

ドラフト候補が並ぶ大学日本代表打線に2イニングを投げて被安打3の3奪三振で無失点、33球。球数制限があるW杯に向け、変化球で打たせて取るスタイルで試合をつくった。「変化球はツーシームとチェンジアップが通用すると思いました」と手応えあり。ランナーがいない場面でもセットポジションで投げるなど試行錯誤もうかがえた。

ドーム全体がざわめく剛速球を目撃した。5回に登板した東洋大・細野の158キロをベンチから見て、衝撃を受けた。身長は同じ180センチ。リラックスしているように見える状態から、速球を繰り出した。「フォームだけを見ていたら、158キロが出ているように思えないような力感というか、脱力して投げ込んでいた。本当にそこは、自分の参考にしたいところ。どれだけ脱力できるかが大事だと思う」。

W杯1次ラウンドでは第3戦の大一番、連覇を狙う米国戦での先発を視野に調整していくことになりそうだ。馬淵史郎監督(67)は「(初戦の)スペイン戦は前田以外でいきます」と明言。それを聞いて笑顔を見せた前田は「気持ちで負けないというところが一番勉強になった。台北に行っても、それをすべて出していきたい」。最後の夏に甲子園には届かなかったが、次は世界一へ。強気で腕を振る。【保坂恭子】

◆前田悠伍(まえだ・ゆうご)2005年(平17)8月4日生まれ、滋賀県長浜市出身。小学6年時にオリックスジュニア選出。高月中時代では湖北ボーイズに所属。昨秋の神宮大会では、準決勝の仙台育英戦で完投するなど大会初の連覇に貢献。連覇の懸かった今春センバツは4強。今夏は大阪大会決勝で履正社に敗れた。180センチ、80キロ。左投げ左打ち。

▽ヤクルト伊東編成部部長兼編成グループチーフ 空振りがよく取れていましたし腕が振れていた。フォームに変なクセもないですし、このまま伸びてくれたらいいですね。

▽中日松永スカウト部長 予選(大阪大会)よりも良くなっている。試合を作れるコントロールの良さ、変化球の良さ。本来の真っすぐが戻ればいいですね。

○…今秋のドラフト上位候補に挙がる木村優人(3年=霞ケ浦)は、5番手で登板し1回2/3を2安打無失点に抑えた。変化球を中心に自信のあるカットボールを交え「相手のレベルが上だったので、引くことなくどんどん向かって勝負できた」と、手応えをつかんだ。150キロを連発する大学投手を目の当たりにし「ボールのキレで勝負する投手が多かった。今日は収穫が多かった」と最速150キロ右腕は前を向いた。

U18高校日本代表が大学日本代表に完敗 慶応・丸田は4打数無安打 侍ジャパン壮行試合/詳細