山形中央・武田陸玖投手(3年)が、横浜DeNAから3位指名を受けた。最速149キロ左腕で高校通算本塁打30本を超える二刀流が、横浜の地からプロのキャリアをスタートさせる。

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山形中央が揺れた。ドラフト会議開始から1時間半、横浜から3位指名。大歓声が校内中に響き渡った。武田は「本当にうれしい」と笑顔。最高の瞬間だった。

今夏の県大会では、帽子のつばに「自分を信じる」という思いを込めて、「信」の1文字を記していた。決勝で日大山形に4-6と敗れ、膝から崩れ落ちた。2年連続、あと1歩のところで甲子園を逃し、試合後には「プロ志望でしたが、こんな力不足ではまだ考えられない」と、自分のことを信じられなくなった。

だが9月、U18W杯メンバーとして悲願の初優勝に貢献。投げては3試合に登板し5回1/3を投げ、無失点。打っては4安打3打点と、二刀流として存在感を発揮。「世界で、少しですけど自分の力が通用すると感じた」。少しだけ自分を信じられる材料をそろえて臨んだ運命の日。プロの扉が開いた。武田は「まだ心の底から信じられるかといったらそうではない。これから誰よりも努力して、日本で一番と言ってもらえるような選手になりたいです」。信じられる、信じてもらえる選手を目指していく。

一番のアピールポイントは「とにかく野球が好きで、野球を楽しんでプレーできること」。3年間で甲子園には立てなかった。たくさん悔しい思いもした。高校野球で流したその涙の分だけ、プロの世界で笑顔を輝かせる。【濱本神威】

◆武田陸玖(たけだ・りく)2005年(平17)6月6日生まれ。山形県天童市出身。成生小では成生ファイヤードラゴンズで、小学6年時には東北楽天ジュニアでもプレー。天童四中では軟式野球部に所属。山形中央では1年秋からエースナンバーを背負い、2年夏、今夏は投打でチームをけん引。2年連続の準優勝に貢献した。今年9月に行われたU18W杯では3試合で救援登板し、無失点。打撃では3割6分4厘をマークし、悲願の初優勝に貢献した。174センチ、78キロ。左投げ左打ち。