聖光学院の正捕手としてチームをけん引し、昨夏の甲子園、仙台育英戦で本塁打を放った杉山由朗(よしろう)捕手(18)が、関甲新学生野球リーグの上武大に進学する。多くのスカウトの中から自分自身に適した環境下で成長が見込めると同大を選択。プロ野球、社会人を含め、息の長い選手生活を送ることを目標に、野球の技術だけでなく、社会に通用する人間力を大学で身に付け、さらなる成長を遂げる。

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大学での目標を問われた杉山は「とにかく、もっとうまくなりたい」と力を込めた。聖光学院での3年間では技術や人間力を磨いてきた。大学ではもう1ランク上を目指し、精神面の成長に重点を置く。「土壇場や厳しい場面になったときに冷静でいられない」と自己分析。将来はプロ入りも視野に入れているが、それ以上に息の長い野球人生を最優先する。「大学4年間を経て、プロに通用するレベルになれば(プロに)挑戦する。そうでなければ、社会人野球など自分のレベルに合わせた場所で野球をしたい」と、4年間を過ごした上で将来を選択する。それでも「野球をしない」という選択肢はなく“今”成長するために全力を注ぐ。

2人の成長がバッテリーの絆を生んだ。昨夏のエース安斎叶悟(きょうご)投手(18)とは1年時からバッテリーを組んでいるが、相性は最悪だったという。「安斎は自分中心の考え方があった。自分自身も実力不足で頼りなかった部分があった」。ちぐはぐなバッテリーを大きく変えたのは2年秋の東北大会準決勝、東北戦(2●6)だった。この敗戦をきっかけに安斎は意識を変え、投手陣をけん引する存在へと成長。杉山も捕手としての実力が伴ったことで歯車がようやくかみ合い、バッテリーを組むのが楽しくなったという。昨夏の甲子園は2回戦で仙台育英に敗れ、目標の「日本一」には届かなかったが、貴重な経験を積み、強い絆が芽生えた。安斎は野球人生に終止符を打ち、公務員の専門学校に進む。今後は別々の道となるが、3年間の学びを糧に、新天地でさらなる成長を遂げる。【木村有優】

 

◆杉山由朗(すぎやま・よしろう)2005年(平17)8月23日生まれ、愛知県名古屋市出身。小3年時に名西ヤンキースで野球を始め、中学時代は名港ボーイズでプレー。聖光学院では2年春の東北大会で公式戦デビュー。2年秋から正捕手としてチームをけん引。昨夏の仙台育英戦で本塁打を放った。177センチ、85キロ。右投げ左打ち。