今大会注目の最速147キロ右腕、作新学院(栃木)の小川哲平投手(3年)が初戦で姿を消した。

初回、先頭を味方失策で出塁されても、焦りはなかった。2死満塁のピンチにも、141キロの真っすぐで遊ゴロに打ち取った。

なかなかリズムに乗れなかった。いつものテンポのいい投球が影を潜めた。制球が定まらず、得意の真っすぐがシュート回転した。積極的に真っすぐを狙ってくる神村学園打線に対し、変化球で交わす苦しい投球が続いた。3回には、神村学園の4番・正林輝大外野手(3年)に初球の甘く入ったカットボールを右翼スタンドに運ばれた。「コース低めに落とせたらいいと思ったんですが、少し腕の振りが緩んでしまって。甘く入ってしまった」と、肩を落とした。5安打6四死球、3奪三振で4失点で5回でマウンドを降りた。

試合前のブルペンではバランスよく投球。手応えを感じてのマウンドも、試合が始まると、体の開きが早くなり、球が抜けた。岩出純捕手(3年)は「ボール自体は悪くなかったんですが、流れがあまりよくなくて。抜け球がいつもよりも多かった。左打者が多く、インコースに投げようとすると真ん中に入って打たれる。自分が抑えないと、という気持ちで力んだのかな、と思います」と、小川の投球を分析した。

最後まで関東王者のエースとして-。そのプライドは守った。「気持ちの面では一切引くつもりはなかった。強気で攻められた」。この冬、練習したチェンジアップと緩いカーブで打ち取った。「ファウルでカウントを稼げたのは、去年秋から変わったところだと思います」。大舞台で確かな成長もつかんだ。

昨春のセンバツでは背番号10で出場。3回戦の英明(香川)戦では、中継ぎで登板し、わずか10球で降板。2度目の甲子園も、小川にとっては苦い思い出となった。「甲子園はあらためてすごい場所だと感じました。勝てる投手になってまたここに戻ってきたい」。

作新学院のエースとして。再び、この大舞台に戻ってくることを誓った。