プロ注目の大阪桐蔭の境亮陽(りょうや)外野手(3年)が、大会第3号のランニング本塁打を含む3安打3得点の活躍で、チームを3大会連続の8強入りに導いた。西谷浩一監督(54)は甲子園の監督通算勝利数で智弁和歌山・高嶋仁前監督(77)を上回り、単独1位となる69勝目。また、チームは大阪勢として47都道府県別では史上初となる甲子園通算400勝に王手をかけた。

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境がさっそうと甲子園のダイヤモンドを駆け抜けた。1点リードの5回先頭で、神村学園先発の上川床の内寄りスライダーを強振。打球は高々と舞い上がり、右翼フェンス上部に直撃し、跳ね返ったボールが外野を転々とする中、一気に三塁を蹴ってホームへスライディングで突入。圧巻のスピードに、球場に駆けつけた約2万人の観客がどよめいた。

「甲子園という場を思いっきり走れてよかったです」

低反発バットでなかったら柵を越えていたかもしれない。境も「もしかしたら入っていたかなと思います」と首をかしげた。ただ、「低反発バットになっても自分の持ち味の足っていうのは変わらないと思う。そこの面で今日は生かせたかなと思います」。高校通算9本目。同初のランニング本塁打を含む3安打1打点3得点の奮闘ぶりで、3大会連続の8強入りを引き寄せた。

50メートルを5秒8という抜群のスピードを誇る。岐阜・大垣市立西部中時代には岐阜南ボーイズに所属しながら、平日は「野球のために」と部活動の陸上部に入部して脚力を鍛えた。中学3年時には岐阜県大会で100メートル11秒06のタイムを記録し、ジュニアオリンピックにも出場した。母・愛子さん(56)は陸上ホッケーの元選手で、実業団のソニーに所属してW杯への出場経験もあるという。三塁側アルプススタンドから見守った愛子さんは「こういう場で活躍できるように、本人が日々練習して頑張ったんだな」と笑顔。母譲りの身体能力を発揮した。

背番号9の大車輪の活躍もあり、西谷監督に甲子園の監督通算勝利単独トップとなる69勝目をプレゼントした。「西谷先生はすごい監督。この1勝を自分たちの力でつかめたので、うれしいです」。今大会は2試合で8打数4安打の打率5割。肩の強さも魅力で、投手として最速146キロを誇る。走攻守兼ね備えた不動のリードオフマンとして、2年ぶりの春の王者奪還へ縦横無尽に聖地を駆け抜ける。【古財稜明】

◆境亮陽(さかい・りょうや)2006年(平18)4月21日生まれ、岐阜県大垣市出身。荒崎野球少年団で野球を始め、西部中では岐阜南ボーイズに所属。大阪桐蔭では1年秋からベンチ入り。好きな言葉は「英姿颯爽」。50メートル走5秒8、遠投105メートル。昨秋までは投手と外野手の二刀流で活躍し、最速146キロ。180センチ、75キロ。右投げ左打ち。