高校野球の抽選会にもいろいろな色がある。群馬大会抽選会は厳かだ。静寂の中、予備抽選で呼ばれた主将たちが「ハイッ!!」と切れ味鋭い返事をし、壇上へ上がっていく。

シャッター音を鳴らすのをためらうくらい、静寂が流れる。でも高校生だ。しかも運命を決める組み合わせ抽選会だ。感情は完全に隠しきれない。

大間々(おおまま)の田中結朔主将(3年)が引いたくじには「4」と書かれていた。

「もしかして…」

顔を上げた。対戦相手の「5」にはすでに、春夏通算15度の甲子園出場を誇る桐生第一が埋まっていた。

思わず苦笑してしまい、壇上から降りる足運びも心なしか動揺していた。壇上からは仲間も見えた。

「引いてくれたな、って顔をしてました」

7月8日の第1試合でぶつかる。強豪とぶつかることはどう思うのか。

「これは僕個人の考えなんですけど…勝っていけば結局(強豪校とも)当たるので、もう自分たちのやることをやるだけじゃないかなと思います」

やることをやる-。同じ群馬の健大高崎が春の甲子園で優勝した。「やることをやって、なおかつ楽しんでるなと」。誇らしく、まぶしくも見えた。桐生第一に勝って、2回戦を勝っても、3回戦ではその健大高崎が勝ち上がってくるかもしれない。「当たって砕けろ、ですね」。

抽選会が終わり、近くを渡良瀬川がさらさらと流れる母校へ帰る。「もう、やることをやる。それだけです」と意気込むと、58校の主将の中でも屈指のサラサラヘアーを誇っていた田中は、気がついた。「まずは帰ってみんなに謝ってから、ですね」。さわやかに笑った。【金子真仁】