<高校野球福島大会:浪江1-8東日本国際大昌平>◇16日◇2回戦

 福島第1原発事故で移転を強いられ、5月上旬からの限られた練習期間で甲子園を目指した浪江高。初戦は突破したが、2回戦で東日本国際大昌平高に1-8の7回コールドゲームで敗れた。

 浪江高は県内2カ所の学校施設を間借りし継続。野球部員15人は全員、練習を続けるため二本松市の授業先に集まった。中でも佐藤大悟主将(17)ら3年生4人は、親元を離れ、同市の旅館での共同生活を選んだ。

 応援席には旅館のおかみ、鈴木美砂子さん(59)の姿が。従業員や、同じ旅館に避難する約200の浪江町民らのメッセージが入った横断幕を掲げた。「原発事故でキャンセルが相次ぎ落ち込んだ時、4人に元気をもらった。一緒に過ごした日々は宝物です」と感慨深げに話した。

 「相双連合」で主将を務めた遠藤剛司君(18)も応援に訪れ、同じ中学校出身の志賀友輔選手(17)にエールを送った。浪江高は4回に山田陵平選手(17)が本塁打を放って一矢報いた。

 佐藤主将は試合後、失策を悔いて、涙を見せた2年生の選手の手をとり「今までありがとう」とねぎらった。紺野勇樹監督(29)は「部に残ってくれた3年生に感謝したい。短い期間で、強豪相手にも粘りを見せた。今後のチームにも受け継ぎたい」と話した。