<高校野球福島大会>◇17日◇2回戦

 第93回全国高校野球選手権大会福島大会は17日で2回戦を終えた。福島第1原発事故を受け、さまざまな放射線対策を実施する「異例の大会」となる中、原発から半径30キロ圏内にあり、他校の校舎に移る「サテライト方式」を余儀なくされている5チームが奮闘。4チームは勝利を手にした。

 30キロ圏内の5チームは、部員不足に陥った双葉翔陽高、富岡高、相馬農高の3校による「相双連合」のほか、双葉高、小高工高、浪江高、原町高。5チームとも練習を再開したのは事故から1カ月半以上たってから。部員の転校も相次いだ。練習場所の確保も難しく、全体練習は週末のみというチームも多い。

 しかし双葉高、原町高、小高工高は3回戦に進出。浪江高も初戦を突破。相双連合はコールドゲームで敗れたが、本塁打で食い下がるなど、ナインの最後まであきらめない姿勢に球場は拍手と涙に包まれた。

 球場の応援席は、原発事故で離れ離れになった生徒らの再会の場でもあった。女子生徒は再会に喜びの涙を見せ、県外に転校した部員らも応援のため駆けつけた。「久しぶり」の声が飛び交い、浪江高の生徒は人気アイドルグループ「AKB48」の「会いたかった」を大声で歌った。

 15日の2回戦が全校応援だった小高工高の片山龍監督(35)は試合後、「みんなでもう1度校歌を歌えたことがうれしい。集まってくれたことに感謝したい」と言葉を詰まらせた。