第93回全国高校野球選手権鳥取大会の準決勝(倉吉市営球場)で、福島県南相馬市から鳥取県倉吉市に避難してきた小学1年生佐藤茅音ちゃん(6)が23日、始球式のピッチャーを務めた。

 母親の真里さん(32)と妹の詩芭ちゃん(4)とマウンドに上った茅音ちゃん。右胸に「がんばっぺ南相馬」のワッペンをあしらった黒のポロシャツを着て大役を果たした。スタンドの観客を前に「緊張した」と話したが、大きな拍手をもらい、うれしそうだった。

 家族が鳥取県に避難したのは東日本大震災から1週間後。真里さんの友人が鳥取県内に住んでおり、勧められたのがきっかけだった。

 5月下旬、小学校の運動会で茅音ちゃんが校庭を走り回る姿が真里さんの目に映った。福島では放射性物質の影響で校庭で遊べない子どももいる。「太陽の下で運動会ができることに本当に感謝した」と真里さん。

 茅音ちゃんは20日、始球式のため、生まれて初めてキャッチボールに挑戦した。故郷の福島や東北の被災者に頑張っている姿を伝え、元気を届けようと本番に備えた。