<高校野球・秋季関東大会:慶応9-6習志野>◇5日◇決勝◇神奈川・保土ケ谷

 慶応(神奈川1位)が習志野(千葉1位)を9-6で破り、49年ぶり2度目の優勝を果たした。1回に5点を失ったが、小刻みに反撃し、4-6の7回、打者9人攻撃で5点を奪い、逆転勝ちした。腰痛の右腕エース白村明弘(2年)は7回からリリーフ登板し、3回を無失点に切り抜けた。優勝した慶応は明治神宮大会(15日開幕)に出場。大会2日目に東北代表の光星学院(青森)と対戦する。

 ニュー慶応を引っ張る146キロ右腕の白村は、5番左翼で「出番」を待っていた。疲労性の腰痛はこの日も回復せず先発を回避。1年生の明大貴(みょう・だいき)が先発マウンドに登ったが、1回、いきなり5点を失った。「初回だから大丈夫。取り返せる」と白村は反撃に専念した。ところが、2度の打席で痛みのある腰の部分に死球を受けた。「当てられたら痛みが吹っ飛ぶと思ったのによけいひどくなった」と苦笑い。だが、慶応は7回、白村の2個目の死球を足がかりに、4安打を集中して5点を挙げ9-6と逆転した。

 「逆転したら行ってもらうぞ」。上田誠監督(51)から指示されていた白村はその裏、勇んでマウンドに登った。最初の打者を真っすぐだけで攻め、空振り三振。毎回、安打を許し、9回は2死一、三塁のピンチを迎えたが、無失点に切り抜け、49年ぶりのゴールに飛び込んだ。今夏甲子園8強入りのエース、力道山の孫の田村圭投手(3年)を「兄貴」と慕う。昨夜、先輩から「頑張れ」のメールをもらい「教えの通り、攻めの投球を心がけた。腕がよく振れた」と笑顔を見せた。10日後に神宮大会が開幕する。上田監督は「白村の腰痛がどこまで回復するか。彼次第です」と思案顔だった。【佐々木紘一】