日大一(東東京)の宮田孝将外野手(2年)は「8時半の男」として知られた元巨人投手の故宮田征典さん(享年66)の孫だ。

 征典さんの長女知美さん(46)を母に持ち、幼いころから野球好き。テレビの野球中継を見て、投手コーチとしてベンチに立つ祖父のユニホーム姿にあこがれた。だが、巨人など4球団で指導した祖父からは「小学生で野球は早すぎる。中学に入ったら教えてやる」と言われ、野球ではなく、屋外で走り回ったり、アメフトをやったりしていた。

 しかし、約束は果たされないまま、小6の夏に祖父は帰らぬ人となった。「野球を教えてもらいたかった」。中学で野球部に入部すると、祖父譲りのセンスで投手として頭角を現した。高校からは外野手。夏の甲子園8度出場を誇る日大一の1番打者で右翼を任されている。10日の初戦の相手は強豪の国士舘。「自分の役割を果たして1試合でも多く戦いたい」。168センチ、74キロの宮田は受け継いだ闘争本能で23年ぶりの甲子園出場に挑む。【茶木哲】