<高校野球青森大会:五戸2-1黒石商>◇14日◇1回戦

 6月に岩手・宮古市で震災ボランティア活動を行った黒石商が、初戦で五戸に敗れた。だがナインは同活動や姉妹校宮古商との交流で成長した姿を披露、最後まで全力プレーで健闘した。

 苦しい試合にも、黒石商ナインは笑顔を絶やさなかった。先発の左腕エース乗田宏幸(3年)は6回まで1安打5四球で1失点に食い止めた。2番手工藤佑真(3年)も力投。バックもよく守り攻めたが、1点差で逃げ切られた。

 黒石市と宮古市は66年に姉妹都市を締結。黒石商と宮古商は90年に姉妹校を締結した。野球部は春と夏、お互いに相手を訪れ交流試合などを行ってきた。6月11日、ナインはバスで宮古市に向かった。「車内では盛り上がっていたが、被災地に入ると、あまりの惨状にみんな静まりかえった」と福士力哉主将(3年=左翼手)は振り返る。

 12~14日、田老地区でがれきやゴミ、泥の片付けなどに汗を流した。同じグループになったアメリカの大学生とも交流した。宮古商と合同練習を行い、古着のユニホームなどをプレゼントした。「宮古の人たちは苦しいのに笑顔で接してくれたのが忘れられない」と福士は言う。

 海老名晋弥監督(33)は「うちのモットーの全力疾走、フルスイングを貫き通した結果だから、選手に悔いはないでしょう」と話した。さらに「宮古で活動してから1カ月、ナインは急激に成長した。だからロースコアの我慢の野球ができた」とたたえた。乗田は「普通に野球ができることに感謝しないと、と思った。宮古商ナインとお互い頑張ろうと誓い合った」。宮古商は岩手大会で17日に初戦を迎える。福士は「自分たちの分も頑張って甲子園に行ってほしい」とエールを送った。【北村宏平】