<高校野球広島大会:崇徳8-1呉三津田>◇17日◇2回戦

 広島野村監督Jrが夏デビューを果たした。1年生ながら名門・崇徳の背番号「6」をゲットした野村颯一郎が2番・遊撃で初戦の呉三津田戦にフル出場。3回には“進塁打”で8点猛攻撃を呼び込んだ。父親譲りの野球センスを持つ颯一郎が、チームの勝利に貢献する。

 偉大な父の血を引き継ぐジュニアが、打線爆発を演出した。0-0の3回1死一塁。父親譲りの右投げ左打ちの颯一郎が打席に入る。初球からセーフティーバントで揺さぶると、カウント1-1からの3球目を引っ張った。結果は二ゴロも、しっかりと一塁走者を得点圏に進めた。すると続く能島、住田、中村、清田、藤井の5連続長短打が生まれ、この回に8安打8得点。呉三津田に第3シードの実力を見せつけた。

 野村は6回の4打席目に四球を選び、50メートル6秒2の快足を生かした盗塁モーションで相手バッテリーをかき乱した。チームは8-1の7回コールド発進。2度の守備機会を無難にこなし、2番打者に値する働きにも納得はしない。

 野村

 緊張したんですけど…。今日は打てなかったんで言うことはありません。次の試合には-。

 この日、スタンド観戦した母繭子さんは「父に似ているところもあるんですよ」と目を細める。春夏通算5度の甲子園出場経験のある名門で1年春からレギュラーに。藤本誠監督(31)は「野球センスは抜群で、何よりも度胸が良い。3番能島、4番住田に続く打線の鍵ですよ」と野村を評す。投げては4回1失点、打っては3ラン含む2安打3打点の阪垣拓哉投手(3年)は「1年生ながら動きも良いし、課題も自分から見つけている」と将来の主将候補に期待を寄せる。

 「努力した者が勝つ」。父の金言を胸に秘めた背番号「6」。成長曲線真っただ中の颯一郎が、93年春以来となる6度目の甲子園出場に貢献してみせる。【佐藤貴洋】