<高校野球北北海道大会:旭川西8-6稚内大谷>◇19日◇1回戦

 旭川西が稚内大谷を振り切り、44年ぶりの白星を勝ち取った。

 また1つ、旭川西ナインが44年前の先輩に近づいた。北大会出場26度の常連校、稚内大谷を公立の進学校が破った。準優勝した67年以来の北大会勝利に、ナインは三塁側スタンドに詰めかけた全校生徒、OBらとともに校歌を大声で合唱した。青山亨監督(41)は「44年ぶりの北大会ということで、選手は緊張していました。それでも最後まで粘り強く戦い、勝ててよかったです」とプレッシャーに押しつぶされず、実力を出し切った選手をたたえた。

 アクシデントにも動じなかった。先発のエース白川が、自身初めてという熱中症で降板。5点リードの5回、マウンドにいったん上がったが、足がふらついた。「このまま投げたら打たれると思った。点差に余裕があったので、何とか頑張ってくれという気持ちだった」。打線は8回に3点を追加、リリーフの笠井も反撃を受けながら最後までリードを守りきった。

 チームの和が最大の武器だ。初回に先制の2点適時二塁打を放った、今大会初スタメンの6番辻村は、今春まで4番を打っていた。しかし、軽いヘルニアを発症して、地区予選は出場できなかった。代わりにレギュラーに定着していたのは及川。打率4割をマークしたが、復帰した辻村にスタメンを譲った。それでも「いい競争相手です」と笑顔で話す。終盤の8回、まだ腰に痛みが残る辻村の代打で登場した及川は貴重な2点適時三塁打を放った。負傷者が出ても、控えがカバーし、全員の力でここまで勝ち上がってきた。

 練習では基本的に選手が自主的にメニューを組む。自分たちで考えながら、取り組むことで団結力も向上した。44年前に準優勝したOBからは寄付金が寄せられた。高校に直接出向いて名乗らずに渡す人もいるという。周囲の高まる期待を感じながら、今日20日は4強をかけて、春の全道準優勝の白樺学園に挑戦する。【木下大輔】

 ◆旭川西の道大会

 春と秋は全道未出場で、夏は南北大会分離(59年)以前も含め過去4度出場。51年から3年連続出場し、初陣は1回戦で夕張北に0-2で敗れたが、52年に小樽千秋(現小樽工)を4-3で下し初勝利。53年は1回戦で函館東に3-4で惜敗した。67年の北大会では、快進撃を続け初の決勝進出。決勝で網走南ケ丘に1-4で敗れ準優勝だった。