<高校野球神奈川大会:横浜2-1桐光学園>◇29日◇決勝

 神奈川決勝で、横浜が桐光学園に延長10回、サヨナラ勝ちし、3年ぶり14度目の甲子園出場を決めた。2死から1番乙坂(おとさか)智主将(3年)が二塁打で出塁。二、三塁からセンバツまで主将だった3番近藤健介捕手(3年)が、今大会自身初の適時打を放った。初戦敗退したセンバツではライバル東海大相模が優勝。神奈川勢の春夏連覇となる、レッドソックス松坂を擁した98年以来の夏の全国制覇に挑む。

 横浜の歓喜の輪の中心には新旧2人の主将がいた。

 延長10回裏2死から主将の1番乙坂が右越え二塁打で出塁。打席には3番近藤が入った。二、三塁の好機で「どんな形でもいいから乙坂をかえしたかった」。1ストライクからの2球目の直球を捉え、打球は中前に転がった。乙坂が頭から本塁に滑り込んでのサヨナラ勝ちに、一塁側スタンドはお祭り騒ぎとなった。

 殊勲の背番号2は「いいところに転がってくれてよかった」とホッとした表情だった。捕手として全7試合中6試合に出場し計4人の投手をリード。2点差勝ちが2試合、1点差勝ちが3試合という接戦を勝ち抜いた。だが、3番を任された打撃では、サヨナラ安打の前まで21打数5安打で打点0。「チャンスで全く打てなくて、迷惑をかけていた」。土壇場で待望の今大会初打点を記録した。

 センバツまで主将だった。しかし、初戦敗退に終わった3日後には「チームを一新したい」という理由で渡辺元智監督(66)から主将交代を言い渡された。「乙坂は信頼出来るやつなので、心配はしてませんでした」。悔しさはあったはずだが、控えメンバーへの声掛けなどサポート役に徹した。「近藤は責任感の強いやつなので、これはもう全部もってかれるなと思った」。そう笑った三塁走者の主将乙坂が、前主将の一打でホームインする幕切れに、渡辺監督は「脇役の2年生の活躍でここまできたけど、最後は3年生が意地を見せた。全員の勝利ですよ」と手放しで褒めた。

 参加186校の激戦区を制して、再び甲子園に舞い降りる。5回戦でセンバツ優勝の東海大相模を倒しただけに、全国制覇に期待が掛かる。「センバツはすぐ終わってしまった。今度は最後まで楽しみたい」。帽子のつばに大きく「仲間を信じて」と書いた近藤は、すがすがしい笑顔だった。

 ◆横浜

 1942年(昭17)創立の私立男子校。生徒数は1212人。野球部は44年に創部、部員数93人。OBにレッドソックス松坂大輔、西武涌井秀章ら。甲子園出場は春13度、夏14度目。優勝は春3度、夏2度。横浜市金沢区能見台通り46の1。葛蔵造校長。

 ◆Vへの足跡◆

 

 

 2回戦10-0白山3回戦6-2横浜商4回戦2-0山北5回戦3-1東海大相模準々決勝4-3立花学園準決勝5-4横浜創学館決勝2-1桐光学園