<高校野球東東京大会:日大桜丘7-3芦花>◇11日◇2回戦◇都営駒沢

 センバツ優勝経験もある日大桜丘の右腕エース矢野雄大(3年)が、甲子園の優勝投手と優勝チームを参考にして、完投勝利を挙げた。

 暑さ対策は、10年優勝の興南(沖縄)から学んだ。同校がレインコートを着て練習していると聞き、それをまねた。おかげで暑さに強くなった。この日も気温30度の暑さながら、矢野には関係なかった。「もちろん暑さにも自信がありました」。8安打を浴びながらも9回を145球で投げきった。

 フォームは、06年に優勝投手となった早実(西東京)斎藤佑樹(現日本ハム)の当時の映像を参考にした。右足を曲げて投げ始める投げ方をまねてみた。「スライダーの曲がりが良くなった」。自分でもアレンジを加え、最初から腰を落として左足を右足の股関節に入れる変則投法がしっくりきて練習を積んだ。この日も、ワンバウンドするスライダーで何度も空振りを奪った。

 練習の工夫は、同校の持ち味でもある。週2回だけ使える人工芝のテニスコート3面しか練習場所がなく、普段は基礎練習しかできない。だが、佐伯雄一監督(30)は「何事も工夫が大事。工夫は人間形成にもつながる」という信念を持つ。そんな環境を理解した上で進学してきた矢野は工夫をしながら成長してきた。「逆に、その中で挑戦したかった」。大会では「自分らの野球を最後までやること」を目標に8強以上を狙う。【茶木哲】