<高校野球静岡大会:浜松商11-8島田商>◇14日◇1回戦◇掛川

 浜松商が島田商との再試合を制した。最大4点ビハインドから7回に1点差とすると、追いついた8回になおも2死二塁で、3番鈴木康介捕手(3年)が勝ち越し打を放つなどこの回4得点。打線の援護にエース石野稜投手(3年)も2試合連続完投で応え、24イニング6時間14分におよんだ熱戦に決着をつけた。今日15日は加藤学園との2回戦に臨む。

 低く強い打球を。8回2死二塁、一打勝ち越しの場面で右打席に入った鈴木は再確認した。2球目の直球に反応する。「気持ち上から振った」バットがボールを右中間へ運んだ。主将の渥美将司内野手(3年)が二塁からヘッドスライディングで生還。さらに、一、二塁となって5番樽井暉和内野手(3年)が決定的な三塁打を放った。2-2の延長15回引き分けとなった前回8日の試合で9安打のチームが、この日は14安打を放ち11安打の島田商に打ち勝った。

 6日前の反省を全員が生かした。鈴木は「この間はフライアウトが多かったので」と振り返る。この日7本だった飛球は、前回24本。うち2本で無安打だった4番山崎展輝外野手(3年)も「前回は自分が決めようと思っていた」と雑念を認めた。空回った気持ちを練習でリセット。「チーム全体で勝つ」意識になった主砲は同じ2飛球ながら3安打2打点。2回2死二塁での凡退に「まだまだ」と不満だが、その理由は「あそこで打てば流れを持ってこられた」から。発想はすっかり「チームのため」になった。

 短期間で2度対戦すれば打者が有利なのは相手も同じ。エース石野は3回に6失点など苦しんだ。それでも「初球の入りが悪かった」と4回以降は修正。前回24打数2安打に抑えた島田商の左打者陣がベースから離れて立つなど、石野の内角攻めに対策してきたが、打者にとってど真ん中となる内角を強気に攻め続けた。前回の237球に続きこの日も151球で完投。今日15日に2回戦に臨むが「連投の方がいい」。昨夏の新チーム発足当初に8日間で10試合に先発した右腕は力強く語った。

 投打ともにエンジンのかかってきた浜松商。どの学校よりも濃い経験を積んで2年ぶりに初戦を突破した。【石原正二郎】