<高校野球大阪大会:東大阪柏原2-0大商大堺>◇22日◇3回戦◇南港中央

 東大阪大柏原のエース福山純平(3年)が、今夏初完封で2年連続代表へ弾みをつけた。大商大堺から9三振を奪い、3安打に封じ込めた。打っては鮮やかな決勝スクイズを決めた。昨夏は2年生右腕として甲子園で2試合に登板したが、146キロ右腕にスケールアップ。絶対エースとして頂点を狙う。

 最速146キロ右腕の福山が、こん身のストレートをインコースへ投げ込んだ。最後の打者から9個目の三振を見逃しで奪い、勝利の雄たけびをあげた。今春の大阪大会で準優勝した大商大堺打線相手に、被安打3で今夏初の完封勝ち。「要所要所でいいところに決まった。自信をもってインコースに投げられた」と、流れる汗をぬぐった。

 2年生エースとして甲子園に初出場した昨夏は、福山にとって苦い思い出だ。「アウトコースへのコントロールに自信があったので、そこに頼ってしまった。相手のレベルが上がると踏み込まれて痛打された。インコースに決めきれないと勝てない」。甲子園でも内角を攻めきれずに、2回戦の如水館(広島)戦で7回途中まで10四死球と荒れた。

 同じ悔しさは味わいたくない。最後の夏に向け、インコースに投げ抜く練習を徹底した。「ブルペンでも打者を立たせて、捕手に打者ぎりぎりに構えてもらった。」。甘く入れば痛打される怖さ、手もとが狂えばぶつけてしまう恐怖を乗り越えようと必死だった。今夏は相手に踏み込ませず、外のスライダーも効果的に決まっている。昨夏は疲労がたまり、大会期間中に体重が3キロ落ちたが、今夏はご飯を毎食3杯おかわり。ベスト体重の70キロもキープしている。

 田中秀昌監督(55)は「魂のこもったボールを投げていた。見事なピッチングですよ。福山の柏原です」と目を細めた。打っても6回1死三塁の打席で決勝スクイズを決める大黒柱の活躍なしに、2年連続の甲子園は考えられない。

 主将でもある福山は、昨夏の主将、日本ハム石川から監督を通じ「2年連続というプレッシャーをそんなに感じんでもいいから、自分らの野球をしたらいい」と激励された。ありがたかったが、甘えるつもりはない。たくましくなったエースは、自分の力でチームを甲子園に導くつもりでいる。【池本泰尚】

 ◆福山純平(ふくやま・じゅんぺい)1994年(平6)4月15日、奈良・五條市生まれ。小2の時に「五條ドンキーズ」で野球を始める。五條中では「五條ドラゴンズ」に所属し遊撃手。東大阪大柏原では1年秋から背番号1。50メートル6秒2。遠投105メートル。最速146キロ。175センチ、70キロ。右投げ右打ち。家族は両親と姉、弟。好きな選手はマリナーズ岩隈。