<高校野球群馬大会:桐生7-0勢多農林>◇8日◇2回戦◇上毛新聞敷島

 桐生(群馬)のエース森山大成投手(3年)は、7回参考ながら勢多農林を無安打無得点に抑えた。

 大記録にも冷静だった。森山は、最後の打者を左飛に打ち取ると、捕手と軽くハイタッチして整列した。7回参考ながら無安打無得点を達成。「ノーヒットノーランは全く意識しなかった。大会はまだ長いので、8割の力で投げただけです」と、淡々と話した。

 長年投手を経験していても、1度あるかないかの偉業だが、森山は投手歴わずか11カ月で達成した。5奪三振ながら、内野ゴロ7、内飛3、外飛5と打たせて取った。出した走者は7回の四球による1人のみ。昨夏の群馬大会は背番号6をつけてショートで出場した。昨秋、投手に転向した理由は、高島喜美夫監督(42)から「投手がいないからやってみないか」の一言だった。

 当時の最速は130キロ前後で、試合で打たれ続けた。それが負けず嫌いの性格に火を付け、投球時の体の開きの原因だった、生まれつきの「がに股歩き」をひと冬かけて矯正した。下半身の力が上半身にしっかり伝わるようになり、球速は142キロまでアップした。さらにカーブとスライダーだけだった変化球を、フォーク、カット、シンカーと5種類に増やした。

 この日は直球とスライダーだけで偉業を成し遂げた。「次があるので、僕の持ち味をすべて出さなかった。ここまで良い投球ができるとは思わなかったけど、抑える自信はあった」と、手の内を隠す余裕も見せた。今後は他の球種を使うという。3回戦は14日、沼田と対戦。本領発揮した森山の快投に注目だ。【細江純平】

 ◆森山大成(もりやま・たいせい)1996年(平8)2月16日、群馬・桐生市生まれ。小学3年から「東ロイヤルズ」で内野手として野球を始める。中学3年夏に桐生市選抜に選ばれ、主将。投手は高校2年秋から。趣味は散歩。176センチ、70キロ。遠投は94メートル。家族は両親と弟。