<高校野球広島大会:如水館11-9近大福山>◇25日◇準々決勝◇しまなみ球場

 広島の準決勝は「兄弟決戦」-。如水館が近大広島高福山との準々決勝で乱打戦を制し、4強入りを決めた。準決勝の相手、新庄は、迫田穆成(よしあき)監督(74)の実弟守昭監督(68)が指揮。甲子園出場の「王手権」をかけた兄弟対決となる。今日26日の休養日をはさみ、明日27日に準決勝が行われる。

 如水館が打ち勝った。近大広島高福山と合わせて25安打20得点の乱打戦。先制しながら、2回に逆転され追いかける展開。勝負をかけたのは6回だ。下中啓佑内野手(3年)が左前打で出塁すると、次打者が四球を選び、相手先発沖田和也投手(3年)をKO。2番手の平俊介投手(3年)にスイッチすると一気に畳みかけた。

 無死満塁と好機を広げると、高橋伸太外野手(3年)の2点中前適時打で同点に。さらに、1死二、三塁から、1年生の枝広圭太外野手が、決勝の中前適時打を放った。この回一挙5点。迫田監督は「勝たせてもらいました」と苦笑いだった。

 強打は「庭球打ち」という名物練習で磨かれた。軟式のテニスボールを、ノックバットで打つ練習だ。ただ、前ではなく真上に打ち上げる。軸足に体重を乗せなければ、柔らかいボールは打ち上がらない。約7メートルのバックネットを5球連続で超えることがノルマだが、想像以上の難度という。

 柱の存在も大きい。迫田監督が「今年は違うチームをつくっている」と評する大江翔真内野手(3年)だ。1年夏に甲子園に出場し、4番も務めた。

 大江は最上学年となり、主将の肩書も背負う。だが新チーム結成時、最大の関心事は自分の成績だった。3月になり、打てなくても声をかければ、気さくに打撃投手を引き受けてくれる同級生の姿を見て気付かされた。「何をやっても、みんなの方が我慢してサポートしてくれている」。このままではいけないと心を改め、今ではチームの精神的支柱となっている。昨夏は初戦で呉商に敗れた悔しさを知る主砲は、この日、先制打を含む3打数2安打2打点の活躍を見せた。

 準決勝は迫田監督の実弟守昭監督が率いる新庄との対戦となる。プロ注目の左腕、田口麗斗(かずと)投手(3年)を擁する、好チームだ。だが、ベテラン指揮官は「意識はないよ。良いチームをつくって来たね」と冷静に受け止めている。県東部の雄が、虎視眈々(たんたん)と2年ぶりの甲子園を狙っている。【鎌田真一郎】

 ◆迫田兄弟

 兄の穆成監督は、広島商時代に3度甲子園に出場し、主将を務めた3年夏に全国制覇。67年から母校の監督を務め、69年に選抜大会で8強入りすると、元広島の達川らを擁した73年夏に全国制覇。93年から、如水館の前身である三原工の監督に就任。如水館では11年夏の甲子園8強が最高。弟守昭監督は、選手時代に広島商、慶大、三菱重工広島で活躍。三菱重工広島では監督を務め、79年の都市対抗野球で日本一に導く。01年に広島商の監督に就任し02年春、04年夏に甲子園出場。07年から新庄の監督を務めている。