<全国高校野球選手権:常総学院4-1仙台育英>◇15日◇2回戦

 仙台育英(宮城)が常総学院(茨城)に敗れ、「東北勢初優勝」という夢はかなわなかった。先発の鈴木天斗(3年)が5回までパーフェクト投球。しかし、6回に初安打を許し、2番手の馬場皐輔(3年)が先制打を許した。再三の好機をつくった打線は、2番菊名裕貴内野手(3年)のソロ本塁打でしか得点できなかった。

 東北勢初優勝を目指した仙台育英の夏は、あまりに早く終わってしまった。行く手を阻んだのは、またしても常総学院だった。01年センバツの決勝で敗れた相手。佐々木順一朗監督(53)から「勝ってリベンジさせてくれ」と託されていた選手たちは力を出し切ったが、及ばなかった。

 序盤は優勢だった。先発の鈴木が、5回まで1人の走者も出さない完璧な投球。コーナーいっぱいに直球を配し、決め球の直球を低めに集め続けた。前日14日の練習では「全然ダメなんです。球が走らないし、フォームがしっくりこない」と首をかしげていた右腕だが、声をからしてくれる仲間のために必死だった。

 大阪入り後、メンバー外の3年生15人から手紙が届いた。「日本一長い夏にしよう」という思いを、帽子のつばに書き込んでいた。初安打を許した6回。1死一、二塁のピンチでマウンドを降りたが「5回までは思い通りの投球だった」と先発の役割を果たした。

 「予定通りの交代。5回まででピンチだったら、ノーヒットでも代えるつもりだった」と佐々木監督。2番手馬場が直後に2点適時三塁打を浴びたが、もともと2人の継投で勝ち上がってきたチーム。交代時も「こういう形でごめん」とボールを渡され「俺が抑える」。8回にダメ押しの2点を奪われたが、最速143キロの直球とスライダーで押した。最後まで逆転を信じて、腕を振った。

 野手陣も、懸命に流れを引き寄せようとした。6回、一塁・水間俊樹(3年)がカメラマン席に飛び込みながらファウルフライをキャッチ。8回には2番菊名が右翼に反撃のソロを放つ。大舞台で飛び出した高校初本塁打に反撃ムードが漂ったが、3番長谷川寛、4番上林誠知(ともに3年)の強烈な打球が野手の正面を突いてしまった。勢いは失われた。

 得点圏に走者を進めたのは、相手の2度に対して3度あった。4回無死一、三塁。4番上林が右飛を放つも、右翼手の好返球で三塁走者菊名が本塁憤死。佐々木監督は「あそこが今日のハイライトじゃないですか。『持ってる子』でチャンスを全部ものにしてきたのに、全部責任を負うような形になってしまった」。運にも見放された。

 これまで、終盤の逆転で何度も勝利してきた仙台育英。上林は「後半に強い育英を見せることができなかった。力の差で負けた」と言った。東北勢の悲願「大旗白河越え」。その思いは、後輩たちに託された。【今井恵太】