エースがチームをけん引するぞ!

 04年の創部以来初の「2勝」を狙う静岡大成の左腕・長倉直輝投手(3年)は、昨夏は右翼手で出場。最後の夏に、本職での出番が回ってきた。横山力監督(36)からの信頼は厚く、今春には甲子園出場経験を持つ増井達哉副部長(27)も加わった。満を持してマウンドに上がる。

 待ちに待ったマウンドに上がる時が来た。昨夏、長倉は守備力を評価され右翼手として出場した。結果は、3打数無安打でチームも1回からリードを許す展開で0-7のコールド負け。登板機会はないまま、1回戦で敗退した。「去年は全然力を出せなかった。今年はようやく投げられるという気持ちも強いし、とにかく自分の力を出し切りたい」と、最後の夏にかける思いを口にする。

 長倉は、168センチと小柄で最速も125キロほどだが、コントロールは抜群だ。横山監督も「大崩れしないのが武器で、試合を作れる。一番信頼しているし、(エースから)外すつもりもない。長倉はチームの鍵。やってもらわないと困る」と、大きな期待を寄せる。

 秋季、春季大会こそ結果は出なかったが、本番前に力強い“援軍”が加わった。03年に静岡高の投手として甲子園に出場し、昨年まで同校でコーチを務めていた増井達哉氏が、今春から副部長に就任。日本ハム・増井浩俊投手(29)を兄に持つ、同“コーチ”に積極的にアドバイスを仰ぎ「腕の使い方や体重移動から、細かい部分まで教わっている。勝つために考えて投げられるようになった」と、手応えをつかんだ。

 目標は、04年の創部以来初となる3回戦進出だ。長倉は「球威があるわけじゃないけど、打たせて取るという自分の持ち味を発揮して、勝つための投球をしたい」と、頼もしい言葉を並べた。凡打の山を築き、チームを勝利に導く。【前田和哉】