<高校野球北北海道大会:深川西9-2砂川>◇5日◇空知地区Bブロック2回戦◇滝川市営

 野球ができる。当たり前のようなことのありがたみを知っている。深川西の村井優太中堅手(3年)は最後の夏、野球好きだった天国の姉や、ケンカもするけど仲の良い弟の分も、元気いっぱいにグラウンドを走った。

 12年3月、小脳の難病を患っていた姉麗那さんが、17歳の若さでこの世を去った。当時、村井は秩父別中3年。秩父別小時代に言われた「プロ野球選手になって、ファイターズに入ってね」という言葉が忘れられない。将来の夢はプロ入りから消防士に変わったが、高校3年間の憧れが甲子園なのは変わらない。実現させれば、姉も喜ぶと信じている。

 弟謙太さん(13)も今、同じ病と闘っている。車いすに乗り、1回戦に続き、砂川との2回戦も応援に駆けつけた。その目の前で、2回に先制の2点適時二塁打、7回1死一、三塁からはコールド勝ちとなる9点目のスクイズを決めるなど3打数2安打4打点。8年ぶりの北大会をぐっと近づける立役者となり「家族に良いところを見せられて安心しました」と白い歯を見せた。

 姉弟とは違い、健康な体を授かった。「幸せなことだと思う」と感謝の気持ちを胸に刻み、仲間たちと熱くて、長い夏を過ごすつもりだ。【保坂果那】