<高校野球福岡大会:西日本短大付8-0福岡>◇8日◇2回戦◇春日

 ドラフト候補で最速150キロ右腕の西日本短大付(福岡)エース小野郁(ふみや)投手(3年)が快投発進した。スカウト7球団が視察する中、福岡との初戦に先発し7回2安打9奪三振の力投で、7回コールド勝ち。

 九州NO・1の呼び声高い西日本短大付・小野が、貫禄の7回コールドを完封で飾った。「流れを早くつくり、点を取ってもらいたかった」。1回からエンジン全開。フォーク、チェンジアップ、カーブなど多彩な変化球を封印しながら、キレのある140キロ台前半の直球とカットボールを織り交ぜただけで福岡打線を翻弄(ほんろう)した。

 1回は2者連続三振を含む3人で抑えて波に乗ると、6回までに出した走者は3四死球の3人のみ。無安打投球で試合をつくった。「狙おうと思ったが、7回に打たれることが多くて」。課題とする「魔の7回」に2安打された。だが、終わってみれば9奪三振の力投で7回2安打無失点。熱視線を送った巨人、広島、楽天、ロッテ、西武らプロ7球団のスカウトの目に快投を焼き付けた。

 打撃では高校通算25本塁打を誇り、本来なら4番に座る。だが、初戦の投球に専念させるため、あえて9番に。それでも4打席中2四球で出塁するなど、威圧感は十分だった。OBでもある西村慎太郎監督(42)も「2安打されたが、ここぞの時に投げる力のあるボールは十分」と信頼を寄せた。

 元阪神、日本ハムの新庄剛志氏と同期の同監督は「総合力はこっちの方が上」と言い切る。優勝候補を投打で引っ張る小野は「今日みたいにリズムをつくる投球を心がけたい」。最速150キロ右腕からますます目が離せない。【菊川光一】

 ◆小野郁(おの・ふみや)1996年(平8)10月23日、福岡・久留米市生まれ。南薫小2年から南薫エンゼルスで軟式野球を始める。櫛原中では硬式の久留米中央ボーイズ。西日本短大付では1年夏からベンチ入り。同秋からエース。最速は150キロ。球種は直球、縦のスライダー、カーブ、フォーク、チェンジアップ、カットボール。遠投100メートル、50メートル走6秒2。右投げ右打ち。176センチ、71キロ。