<高校野球兵庫大会:神戸国際大付3-0加古川東>◇12日◇2回戦◇明石トーカロ

 神戸国際大付が2年ぶりの夏1勝を挙げた。右肘、両ひざの骨折から復活したエース黒田達也(3年)が、加古川東打線を3安打14奪三振完封。兵庫・姫路市生まれの黒田姓。あの黒田官兵衛とは「ゆかりはない」と笑うが、同じように?

 逆境を乗り越えて、昨夏初戦敗退の悪夢を拭い去った。

 最後まで、鉄壁の右腕だった。黒田が毎回の14奪三振。2安打を打たれた相手5番の鷲野祥吾外野手(3年)を除く先発8人から三振を奪った。「楽しんで投げることができました」。夏初戦の重圧を、マウンドに立てる喜びが上回った。

 兵庫・姫路市生まれ。そして黒田姓と言えば…。「黒田官兵衛とはゆかりはないんです」と笑ったが、1年に及ぶ有岡城幽閉に耐え抜いた軍師・官兵衛同様、逆境を乗り越えた。「体のあちこちを骨折して…」と青木尚龍監督(49)は言葉を詰まらせた。灘中2年時に疲労で右肘を剥離骨折。高校では2年秋に左膝の膝蓋骨を骨折し、治った直後に右の膝蓋骨を骨折した。実戦のマウンドに戻れたのは今年の3月。投打の中心で高校通算40本塁打の主砲・高橋優外野手(3年)と競いながら、背番号1をつかみ、6月の練習試合・PL学園(大阪)戦で自己最速140キロをマークするまでに復活した。

 いくつもの絶望を乗り越えたからこそ「故障する前と後の自分は、違う。投げられることそのものがうれしい」と、エースとして投げる初の夏初戦は相手エース大村竜太郎(3年)の投球をも励みにした。「内角に思いきって投げ込んでくる」。一方自身は、自慢のスライダーで公式戦自己最多14K。「ダルビッシュ投手のように変化球を操れる投手になりたい」と望む右腕は、スライダーを自在に操り、高橋の2打点など援護を受けた。8回1死三塁のピンチは加古川東のスクイズを封じ、完封勝利をつかみとった。【堀まどか】

 ◆黒田達也(くろだ・たつや)1996年(平8)12月2日、兵庫・姫路市生まれ。糸引小1年から「糸引ジャガーズ」で投手として軟式野球を始め、姫路市立灘中では軟式野球部に所属。引退後に準硬式の「MAJOR

 HYOGO」で全国優勝。神戸国際大付で1年秋の近畿大会で初のベンチ入り。3年春から背番号1。球種は最速140キロの直球とカーブ、スライダー。50メートル走6秒5。遠投100メートル。180センチ、85キロ。右投げ右打ち。