<高校野球静岡大会:静岡10-0富士東>◇26日◇4回戦◇草薙球場

 3年ぶりの優勝へ、あと3勝だ!

 春季県大会準優勝の静岡が富士東に6回コールド勝ちし、8強入りを決めた。3回戦まで苦しい戦いが続いたが、今大会初先発となった背番号10の鈴木隆司投手(3年)が直球と2種類の変化球を駆使して6回をゼロ封。打線も14安打と爆発し、投打がかみ合う優勝候補らしい勝ち方を見せた。今日27日の掛川東との準々決勝に向けて、チームのムードも最高潮となった。

 県内の最高気温が36度を超える中、炎熱のマウンドでも、静岡の背番号10はクールだった。鈴木隆は1回表、いきなり先頭打者に安打を許す。だが「1アウトを取れば大丈夫」と言い聞かせ、動揺しなかった。最速134キロの直球、スライダーとカーブを低めに集め、富士東打線を手玉に取った。被安打3、四死球1。「打たせて取る」投球で無失点に抑え「練習での調子が良かった。自信を持って投げられました」。謙虚な言葉から完封できた喜びがにじみ出た。

 リベンジ舞台だった。公式戦の先発は5月6日の春季県大会決勝、日大三島戦以来。この時は序盤に本塁打を浴びるなど3失点を喫し、5回で降板。「出来は40点。ダメでした」。今回はエース辻本宙夢(3年)の疲労面を考慮、自身の好調も後押しして出番が回ってきた。前日25日に登板を伝えられ「やっと自分の出番が回ってきた。やってやる、と思いました」。内なる闘志を燃やして臨んだマウンドだった。「辻本よりも自分はポンポン投げることが売り。今日はテンポ良く投げられた。80点ぐらいは付けられるかな」と自ら合格点を出した。

 好投を受け、打線もつながった。5-0で迎えた6回裏には四球と失策を絡めて一挙に5点を奪ってコールド勝ちに持ち込んだ。3安打2打点2盗塁の岸山智大主将(3年)は「隆司は素直で人の意見を聞けるタイプ。その隆司が抑えてくれたから」と、打線爆発で応えた。

 エース辻本を温存し、6回で試合を終えたことも疲労面を考えれば大きい。駿河総合との初戦は2日間かけて勝利、3回戦の静清戦は乱打戦と苦しんだ静岡が、ようやく「らしい」勝ち方ができた。岸山主将は「決勝まで全部苦しむかも。一戦必勝でやりたい」と、圧勝ムードに乗って頂点まで突き進む。【藤中栄二】