<センバツ高校野球:早実9-2富山商>◇29日◇2回戦

 関東勢最後のとりで早実(東京)が斎藤佑樹投手(早大3年)を擁した06年以来3年ぶりの8強進出を決めた。絶対的エースを擁した前回と違い、小野田俊介投手(2年)-鈴木健介投手(2年)のリレーで、9-2と富山商に大勝した。

 早実2年生コンビの「勝利のポーズ」は8強入りでも変わらなかった。マウンドを降りた鈴木がグラブを突き上げると、先発小野田がグラブを掲げて待ち受ける。それをぶつけ合った。鈴木は照れくさそうに「制球が安定しなかった。気持ちの緩みはなかったと思うんですが」と振り返った。

 7点差の7回から登板した。小野田に「任せたぞ」と肩をたたかれて上がったマウンドは、3回を被安打4の1失点。8回1点を失いなお2死二、三塁。フルカウントにしたところで、外角速球を投じ、三振に仕留めた。「あそこで粘れたのはよかった。斎藤さんのように粘れるピッチングが目標です」と話した。

 ともに先輩の斎藤にあこがれて入学、今は目標にする。そんな2人は前日(28日)西宮市内の練習場から宿舎まで約3キロの道のりを走って帰った。途中甲子園に立ち寄ると、鈴木の父久幹(ひさもと)さん(45)とバッタリ。大宮西(埼玉)の監督は、選手を引き連れて関西遠征に来ていた。「ナイスピッチング」と声をかけられた。そのあと2人は右翼席後方の「甲子園素盞鳴(すさのを)神社」を訪れて必勝祈願。ボール形のお守りを買い、この日はバッグにつけて球場入りした。

 1年C組で机を並べる2人。北海道出身であることから「じゃが」の愛称を持つ小野田に対し、鈴木は健介の名前をとって「ケッティー」と呼ばれる。小野田が「後ろに(鈴木が)いるんでありがたいと思っています」と言えば、鈴木は「いつか先発したいけど、この大会は抑えで頑張ります」と話した。

 仲よしコンビのリレーに打線も呼応して斎藤を擁した3年前に並んだ。和泉実監督(47)が「お互い助けあっていけばいい」と話している最中、傍らの鈴木が「決勝でも最後のマウンドに立っていたい」と言ってのけた。【米谷輝昭】