89年以来、遠ざかっている東亜学園(西東京)は、「デーブ」こと西武大久保博元打撃コーチ(41)の長男、大久保泰成(3年)が主将として引っ張る。

 東亜学園・大久保は父譲りの打撃センスを持つ。「家では父と全然野球の話をしない」と話す。公称180センチ、108キロの父は長打が売りだったが、178センチ、70キロと細身だけに、中距離打者タイプ。「3番中堅」でしかも主将のポイントゲッターだ。1年からベンチ入りし、責任感の強さでチームを引っ張る。「大久保は練習をよくやるまじめでいい子。適任者だ」と上田滋監督(52)は話す。

 大久保は帰宅後も、自宅の地下にあるトレーニング室にこもって練習に励む。父博元氏は笑いながらも「ウチのチームでいえば(練習の虫の)栗山だな。地下に入ったまま全然上がってこないからモグラみたいなんだよ」と努力を認めている。

 春の都大会準々決勝で日大三に敗れた。風邪による体調不良から打撃フォームが崩れ、力を出し切れなかった。「自分のせいで負けた」と1人で責任を負った。その後、本来の打撃フォームを見失ったが、ようやく形ができてきた。「6月から(練習試合で)打ってない日はない。いい感じでここまでこられている」と手応え十分だ。スリムな体形のイケメン主将が、チームを89年以来の甲子園出場を導く。