<高校野球福島大会:聖光学院3-2あさか開成>◇11日◇2回戦

 第1シード聖光学院が、あさか開成に9回3-2でサヨナラ勝ちし、夏2連覇と4季連続の甲子園出場に向けて辛勝発進した。エース仲田浩人(3年)が同点に追い付かれた8回表1死三塁から救援。ピンチを切り抜け、9回には先頭打者として右中間二塁打で出塁し、サヨナラのホームを踏んだ。

 スクイズでも勝ち越しを許す8回表1死三塁のピンチに、エース仲田がマウンドに立った。今春センバツ1回戦の沖縄尚学戦。初回1死三塁での、三塁けん制がボークになり、その失点が響き、0-1で惜敗した。終盤での同じ場面。仲田は動じることはなかった。投球前に、いきなり三塁けん制。カウント2-0から相手5番打者の3バントスクイズを失敗させ、次打者も中飛に打ち取った。甲子園を経験するエースの貫禄(かんろく)を示した。

 打撃でも、仲田だった。自らの二塁打が口火になった9回裏1死満塁。三塁走者として1番関根健斗(3年)の右前打でサヨナラのホームを踏んだ仲田は「(センバツは)悪夢でしたが(同じ場面は)気にしませんでした。いい展開で終わらせてもらいました」と平然と振り返った。直球の最速は139キロだが、センバツ後は「球速は139キロも140キロも同じ」と、本塁ベースの両側に20センチ幅の白線を引き、ストライクゾーンからボール1つ外す制球力を磨き続けてきた。

 斎藤智也監督(45)は「苦しい場面でしたが、仲田を投げさせないで負けるのは嫌だった」と、エースを信頼。「(登板は)思惑と違ったが、夏独特の経験を味わったと思う。(打撃も)あの子の強さでしょうね」と絶賛した。夏2連覇に向けて、わずかに登板予定は狂ったが、今夏決勝舞台になるメーン球場(県営あづま球場)でのマウンドを経験した。惜敗した沖縄尚学は、センバツで頂点に立った。仲田は「もう1度甲子園でやってみたい」と夢を広げた。【佐々木雄高】