<高校野球沖縄大会:沖縄尚学3-1興南>◇12日◇準決勝

 センバツ優勝校の沖縄尚学(沖縄)が春夏連続出場にあと1勝と迫った。エース東浜巨投手(ひがしはま・なお=3年)が興南相手に1失点完投。打線は終盤に3点を奪う逆転勝ちだった。13日、浦添商と対決する。

 沖縄尚学のエース東浜が1年間の思いを150球に込めた。昨年の優勝校興南を破り、3年ぶりの決勝に進出した。東浜は「きつかったけど、楽しんで投げられました。やっとリベンジができました」。晴れやかな表情を浮かべた。

 初回にいきなり1点を奪われた。味方打線の援護はない。4回、5回と走者を三塁まで進めながら得点できない。それでも追加点は許さない。6回以降、毎回走者を得点圏に置いたが、粘り強く投げた。被安打7の1失点。その好投が8回の逆転劇を呼んだ。比嘉公也監督(26)は「今日がこの夏で一番良かった。1番の務めをしっかり果たしてくれました」と気迫の投球を頼もしく見つめていた。

 1年間ひきずってきた思いと決別するためのマウンドだった。「ここ(準決勝)で勝たなきゃ乗り越えられない気がして」。昨年の準決勝では脱水症状から両足のけいれんを起こし、走塁途中で倒れた。チームメートに抱えられベンチに戻った東浜は交代、チームも敗れた。あれから県大会、九州大会、そしてセンバツでも準決勝を迎えると苦い記憶がよみがえった。今年はイニングの合間にアミノ酸入りのドリンクを飲み、ベンチにはフルーツや黒砂糖が並ぶ。「食べ物がたくさんあるんですよ」と東浜は笑った。

 夏の甲子園まであと1勝だ。「夏に勝ったチームが本当に強いと思うので、あと1試合を全員で勝ち抜きます」。相手は昨年敗れた浦添商。もう1つのリベンジを果たして、東浜が甲子園のマウンドに戻る。【前田泰子】