<高校野球南大阪大会:大体大浪商14-0和泉総合>◇14日◇2回戦

 大体大浪商の謹慎クンがみそぎの2発を放った。優勝候補の大体大浪商が5回コールドで圧勝した。3月に寮を脱走し、春季大阪府予選は謹慎していた石垣良純左翼手(3年)が2打席連続本塁打を放った。プロ注目のエース宮川将(3年)も4回1被安打無失点と好投した。

 ドカベン香川の母校に、今夏も楽しいキャラクターが出現した。背番号16の石垣は、3回1死二、三塁でランニング本塁打を放ち、4回には右翼スタンドへ高校通算9号。2打席連続アーチで4打点をたたき出した7番打者は「この夏、背番号をいただけるとは思わなかったんです」と打ち明けた。

 3月11日のことだった。コーチに注意されて頭に血が上り、ジャージ姿で寮を飛び出した。実家に戻ってはみたものの「家にいたら監督に見つかる」と、今度は家出。「とりあえず風呂に入って、すっきりしよう」と、自宅近くの健康ランドにひそんで一晩を過ごした。だが風呂につかって落ち着いてみたら「バカなことをしたもんや」と、後悔しきり。意地を張っていたら野球を続けられなくなると気づき、決まりが悪い思いをしながら家に戻った。

 「帰って来ました」と家族から連絡をもらい、下条真佐実監督(34)も一安心。「一晩たっても帰って来なければ、みんなで探しに行くぞ」と104人の部員に石垣捜索令を出していた。寮に戻り、コーチに謝った石垣を再び受け入れた監督は「ひたむきで一生懸命なところがある」と、気持ちを買った。ただし、春の近畿大会大阪府予選中は謹慎処分。その後再び、石垣に背番号を託した。

 「自分のためにベンチ入りを外れた仲間がいるんです。あいつがチームに戻ってよかったと思ってもらえるよう、結果を出さなければいけないんです」。深く反省した謹慎クンが、29年ぶりの夏の甲子園にチームを引っ張って行く。【堀まどか】