<高校野球南大阪大会:近大付1-0興国>◇21日◇4回戦

 近大付に絶叫ストッパーが登場した。近大付はほえながら投げる気合十分の2年生ストッパー田中大輔の好救援で興国にサヨナラ勝ちした。

 真夏の日差しもはね返す迫力で、田中が「ウオオオ!」とほえた。0-0の8回に今夏初登板。いきなり安打と2四死球で2死満塁を招いてしまった。先輩の今井智也(3年)がそこまで無失点で投げて来た終盤、点を取られるわけには行かなかった。

 「自分の気持ちを切り替えるため。そしてバックに声をかけなさい、と藤本監督に普段から言われているんで」。絶叫し、味方を鼓舞し、自分を鼓舞した。5番打者を見逃し三振に取って、最大のピンチを脱出。そこからは興国打線に1安打も許さず、11回裏の亀山一平一塁手(2年)のサヨナラ打を呼び込んだ。

 最速140キロのストレートにカーブ、スライダー、フォーク、パームボールと持ち球も多彩。信太(しのだ)中3年では中学JAPANに選ばれ、米国遠征も経験した。藤本博国監督(38)は「まっすぐでも変化球でもストライクを取れるし(チーム内で)球の力は一番」と、1年秋からリリーバーに起用した。身長166センチと小柄だが、体重74キロと胸板、下半身はがっちり。浅黒い風ぼうにも、野性味があふれる。だが「実は緊張するんです」と、2年生らしさもぽろり。それでも、ピンチは絶叫で吹き飛ばす。南大阪の強豪に、愉快なキャラクターが現れた。【堀まどか】