<高校野球南北海道大会>◇29日◇1回戦◇室蘭地区予選

 王座奪還を懸け「駒苫の夏」がスタートした。駒大苫小牧が5-0で苫小牧中央を破り、3年ぶりの夏甲子園へ好発進。181センチ左腕の落合祐介(3年)が、5安打9奪三振で完封。04年に全国初制覇した時の主将、佐々木孝介監督(23)率いるチームは、攻守にスキのない会心のゲームで第1歩を踏み出した。

 駒大苫小牧・佐々木監督はこの夏に向け、昨年7月20日の就任から344日、選手のために力を注いできた。主将として2年春から3度甲子園の土を踏んだが、チームはもう誰も経験していない。3年生25人にとっては最後のチャンスで「甲子園に立ってほしい」。そんな思いも込め、初めて背番号1をつけた落合を「お前の1球に、全員の気持ちがこもってるぞ」とマウンドに送り出した。

 新エースは初回、先頭打者から5球目で空振り三振を奪うとリズムに乗った。3回まで無安打。4、6、7回に1安打ずつ許したが、後続を断った。8回には連打を浴びるも、併殺で切り抜けた。公式戦は初完封で大事な夏初戦を飾った。

 「夏は(練習試合の)結果で背番号や選手登録を決めました」と佐々木監督。昨秋、今春は野球に取り組む姿勢や過程も重視したが、最後は結果にこだわった。落合は苫小牧東との練習試合で好投し評価された。全体練習後、1人で30分走り込んだ努力も実を結んだ。「春は(背番号)18番。ショックもありました。でも、自分が変わらなきゃと必死でした」と話した。

 先発起用の9人が、仕事をきっちりこなしての完勝だった。出番のない9人もベンチに入れない3年生も、その裏で一生懸命戦って挙げた1勝。「思い入れが強いんです。選手と一緒に、どうしても(甲子園に)行きたい」。佐々木監督は力強く言った。【中尾猛】