<高校野球北北海道大会>◇4日◇十勝地区代表決定戦

 帯広柏葉が刀をバットに変え、12年ぶりに歴史を切り開いた。代表決定戦で江陵を7-2で下し12年ぶりに北大会出場、春夏秋通じても12年36季ぶりに地区を勝ち上がった。

 大振りせずコンパクトな打撃で加点した。4-0で迎えた5回表に1点を奪われたが、その裏2死二塁から八重柏政之中堅手(3年)の右前適時打で突き放した。12安打のうち外野の頭上を越える当たりは1本もなし。秘密は冬の練習だった。「木刀を振った成果」と八重柏は言う。

 昨秋から「木刀トレ」を取り入れた。山本司監督(45)が剣道部顧問に指導を仰ぎ選手に伝えた。相手を前に、右打者は右上から下に向かって振り抜く独自の練習で軸が固定され、ヘッドスピードも増した。「ひじの使い方がうまくなったと思う」(八重柏)。昨夏は代表決定戦で0-4で帯広農に敗退。「打てなきゃ勝てない」(山本監督)と、敗戦が糧になっていた。

 進学校のため練習は午後7時まで。八重柏は豊頃で地域医療をする父政宏さんと同じ医学部を目指す。勉強との両立のため、選手は午前7時から1時間と昼休みの30分も練習に充てる。3安打と活躍した玉川友裕右翼手(3年)は「頑張ってきたので北大会はベスト4を目指したい」と話す。

 選手だけでなく、野球部OBの山本監督にとっても初めての全道規模の大会だ。父母会との約束で全道大会に出場するまではと4年間、無精ひげを生やし続けた。「DREAMS

 COME

 TRUE」のボーカル、吉田美和とは高校時代の同窓生で卒業後も親交がある。「活躍が聞こえてくれば何か彼女からアクションがあるかも。母校を応援してくれる人ですから」と話す。選手と指揮官、OBの夢がかなった1勝だった。【上野耕太郎】