<高校野球南北海道大会>◇5日◇札幌地区代表決定戦

 札幌地区で札幌丘珠が11-3の8回コールドで札幌琴似工を破り、前日雷雨ノーゲームの再戦を制して2年連続の南北海道大会(19日開幕・札幌円山)進出を決めた。右肩痛のエースに代わり、今予選からマウンドに立つ背番号8の瀬能絢照(せのう・けんしょう)投手(3年)が3失点で完投。南北各16代表が出そろった。組み合わせ抽選は8日に行われる。

 「昨日はウチの勝ち。今日はまた違う試合。代表決定戦を楽しんでやろう」。札幌丘珠の金子磨志(きよし)監督(44)は試合前、ベンチ前で円陣を組む選手に語りかけた。5-0とリードしながら、3回途中で雷雨ノーゲームとなった前日の試合を選手の頭から消し去った。ナインもリセットして試合に臨んだ。

 1-1の3回表に試合が動いた。1死一、二塁から瀬能の右前適時打で勝ち越しに成功。四球を挟み、満塁で滝川翔太捕手(3年)が右中間へ走者一掃の三塁打を放った。「あのヒットが効きました」(金子監督)。一気に流れを引き寄せ、4、7回に1点ずつ加点。8回にも瀬能の左中間2点三塁打などで4点を奪い、点差を大きく広げた。

 3安打4打点と活躍した瀬能は昨夏まで外野手。秋に、層が薄かった投手陣をカバーするためコンバートされた。当時は主将を務めていたが、投手に専念するため主将は交代。本格的な練習を始め、今年3月ころにやっと投手らしい球を投げられるようになった。この夏の初戦、北星学園大付戦が公式戦初登板。昨秋の地区代表校を2-1で退けた。「あれで自信がつきました」と振り返った。

 強力打線で勝ち上がってきた札幌藻岩を相手に、4番八木橋涼右翼手(3年)には2打席連続本塁打を浴びたものの、大量リードに守られて逃げ切った。主将の伊藤純平遊撃手(3年)が「(瀬能は)気持ちが強い」と話すなど、思い切った内角攻めが効果的だった。

 2日がかりの決戦をものにして、チームは春の地区2回戦で札幌光星にサヨナラ負け以降、練習試合も含め21戦19勝2分けと連勝街道を突き進む。部の伝統「負けたら学校に戻ってグラウンド50周」は、しばらく実施されていない。次は新しい伝統をつくるため、円山に乗り込む。【中尾猛】