第92回全国高校野球選手権(8月7日開幕・甲子園)の出場をかけた南北海道大会(19日開幕、札幌円山)の組み合わせ抽選会が8日、行われた。初出場の函館稜北は初戦で同一地区の函館工と対決。函館ダービーを制し、3季を通じて初の全道勝利を目指す。

 組み合わせが決まると、函館稜北の竹谷大輝主将(3年)は思わず苦笑いした。初出場の記念すべき初戦の相手は、同じ函館地区の函館工。まさかの対戦相手に「ほかの地区ともやってみたかった気もしますけど」と冗談交じりに話した。

 複雑な心境だった。両校とも対戦を避けたい気持ちから、約2時間前に会場入りし、手続きも1、2番目に済ませた。脇沢潤一監督(41)は「会場で1番最初に顔を合わせた学校と当たると、函館を出るとき言われてきたんです」と、抽選会後には函館工の小早川賢輔監督(53)と会話を交わした。それでも、照準が定まり、両チームとも自然と闘志は高まってきた。

 地区予選は178センチ右腕のエース中村貴稀投手(2年)を中心に守り抜く野球で勝ち上がった。計3試合25イニングで4失点、失策も2個。攻撃では積極的な走塁で盗塁は19個をマーク。函館商との代表決定戦では終盤8回の集中打で逆転し4-2で勝利するなど接戦に持ち込む粘り強い野球が持ち味だ。脇沢監督は「地区ではしっかりと守ってこれた」と自信を見せる。

 函館工には昨夏と秋に、地区3回戦で対戦し、いずれも敗れているが、今年5月の練習試合では6-3で勝利している。小、中学時代のチームメートなどお互いに顔見知りも多いが、竹谷主将は「逆にいつもと変わらない雰囲気で、緊張はしないかも」とプラスにとらえる。3季通じての全道初勝利が目標。「相手はどこでも自分たちの野球は変わらないので」と気持ちを引き締めた。【石井克】